再帰的最尤復号の機構化について

青木 重徳 (9751001)


線形ブロック符号に対して,ビタビ復号アルゴリズムよりも計算複雑度がかなり小さい最尤復号アルゴリズムとして再帰的最尤復号アルゴリズム(以下,「RMLD」と略記)が提案されている. RMLDでは,トレリス線図の構造的な特徴,すなわちトレリス線図を区間毎に分割して考えた場合,同じ構造を有する区間が多数存在するという構造的特徴を有効に利用することができる.特にReed-Muller(RM)符号とその適当な部分符号,拡大原始BCH等(2元シフト不変符号と呼ばれている)では等2分割法によるセクション分割を採用するとき,同一の帰納レベルの各セクションの回路は全く同一となり,処理速度が許す限り回路の時分割共用が可能である.

``高速高信頼性衛星通信システムに関する研究''(通信放送機講「創造的情報通信技術研究推進制度」)に関連して,(64,42)RM符号の適当な(64,35)部分符号のRMLD復号回路を1チップVLSI回路で実現が研究されている. (64,35)部分符号は, 一般に多数存在するが, 誤り制御特性上の一定の条件を満たす2元シフト不変符号の中で,等2分割法によるセクション分割を採用したときのRMLDの計算量が最小である符号,2番目に小さい符号などが求められている.

本研究ではこの符号$C$において,トレリス線図の構造を解析したうえで,再帰的最尤復号を実現する場合に必要となる{\rm VLSI}回路のチップサイズ評価を行った.