デザイン理論に基づいた
「書いてまとめる」プロセスに関する研究

山本 恭裕 (9651119)


本研究は,「書いてまとめる」という基本的認知プロセスを例にとり,人間の 思考活動,創造活動を,コンピュータシステムを用いて「より自然に」支援, 増幅することを目的としている.

本発表では,まず本研究で対象問題領域としている「書いてまとめる」プロセス について述べ,既存のモデルを概観する.続いて,本研究で理論的背景とする デザイン理論として, Reflection-in-Action および Hermeneutic Circle と いう二つの理論について述べる.これらの理論に基づいたデザイン支援のため のアプローチとして Representational Talkback を提案し,それに沿って実 装した支援ツール ART (Amplifying Representational Talkback) につ いて述べる.ART システムは,(1) 「書いてまとめる」プロセスの支援, および (2) ユーザの「書いてまとめる」プロセスの観察,という二つの目的 をもつ.ART を用いて,「書いてまとめる」プロセスにおける Representational Talkback の種類とメタコメント,およびそれらの間の適切 なマッピングを探ることを目的として観察実験をおこなった.その分析および 考察を通して,本研究で提案する Representational Talkback をいう手法全 般に関する考察をおこない,将来の研究の方向性を論じる.