すべての結託ユーザを特定可能な画像電子透かし法

山本哲也 (9651117)


ディジタルデータは完全なコピーが容易にできることから, 著作権を無視した ディジタル著作物の不正コピーが危惧されている. 第三者による不正コピーには暗号技術が有効であるが, 復号してデータを得た正規のユーザがそのコピーを作成し, データを不正に再配布するということに対しては 無防備のままである.

この正規ユーザによる不正コピーを抑止する手段として 電子透かし技術を利用するものがある. 電子透かし技術とは 著作者などの情報を符号化して, これを透かし情報として音声や画像などのデータに埋め込む技術である.

本発表では, ユーザのIDを透かし情報として埋め込んでおき, 不正コピーが発見された時, 透かし情報から犯人を特定できるようにすることで 不正コピーを抑止するシステムを想定し, これに用いる透かし情報埋め込み法についてまず説明する. これは画像信号へのスペクトル拡散を利用して透かし情報を埋め込んでいる.

このシステムでは埋め込まれた透かし情報がすべて異なるため, システムに対する攻撃として, ユーザが結託して透かし情報を不正に除去, 変更する攻撃が考えられる.

そこで本発表では, 先に説明した透かし情報埋め込み法のもとで, データの各値を結託ユーザの平均値にする結託攻撃に対して有効なID情報符号化法を提案する. これは結託数が想定した人数以下ならば, 不正を行ったすべての結託ユーザの特定ができるようなものとなっている.