遠隔画像診断のための超音波Bモード画像の圧縮伝送法

八木 浩明 (9651115)


近年,高度な医療サービスが求められる中,コンピュータと情報通信技術の目覚ましい発展に伴い,遠隔診断が現実味を帯びてきている. 診断を行う際には,解像度が高い画像で診断することが必要である場合と,フレームレートが高い動画像で診断することが必要である場合がある. そのため本システムは,解像度優先システムとフレームレート優先システムから成っており,システム起動時に選択することが可能である. 前者のシステムでは,超音波画像の音線方向の情報のみを抽出し,ランレングス圧縮を施すことによって情報量を削減している. ここで,音線方向とは超音波ビームを送波する方向である. 後者のシステムでは,超音波画像の音線方向の情報のみを抽出し,DCT(Discrete Cosine Transform)を施すことによって圧縮をして,更なる情報量削減を試みている.

次に,本システムの有効性を示すために1.5Mbps(bit per second)のISDN(Integrated Services Digital Network)回線を用いて超音波動画像伝送実験を行った. その結果,解像度優先システムについては超音波診断装置から出力されているNTSC(National Television System Committee)の画像の解像度と同様の640$\times$480で表示することができ,診断が従来通りの解像度で行うことが可能であった. また,フレームレート優先システムについては,画像解像度は$320\times$240であるが,フレームレートは11.111fps(frame per second)であり,動画像として違和感のない表示をすることができた. さらに,両システムとも,遅延時間は1秒弱であり,リアルタイム性,診断に耐え得る画質,フレームレートを確保したシステムとして,遠隔診断への利用が期待できると考えられる.