ソフトウェア開発シミュレータのCORBAによる設計と実装

森崎 修司(9651112)


ソフトウェア開発計画立案の支援を目的として,開発工程の進捗や工数, 生産物の品質などを数学的に予測する方法(シミュレーションモデル) が数多く提案されている.プロジェクト管理者はこれらの利用可能な予 測モデルを複数用いてシミュレーションを行い,結果を比較,検討でき ることが望ましいが,現状では,1)どのような予測モデルが利用可能な のかわからない,2)利用可能なシミュレータへの入出力データの互換性 が低い,3)シミュレータ毎に操作方法が異なる,4)シミュレーションに 利用するデータを開発支援ツールなどと共有できない,などの問題点か ら必ずしも容易に行うことができない.

本研究では,開発シミュレータの入出力データの対象領域である開発プ ロセスをモデル化し,入力データ処理,予測計算,シミュレータの実行 制御等のコンポーネントから構成されるプラットフォームを作成した. 予測モデルに与える入力データと,予測を実際に行うシミュレーション エンジンとを分離し,より一般的なインタフェースを与えることで,複 数の予測モデルの利用,新たな予測モデルの追加,インタフェースに基 づく予測モデルの検索,などの柔軟な利用が可能となる.

シミュレータのプラットフォームは分散オブジェクト基盤CORBA(Common Object Request Broker Architecture)に基づいて作成し,各コンポーネ ントをCORBAオブジェクトとして実装した.CORBAの利用により,ネット ワーク上に分散した入力データやシミュレーションエンジンを位置を意 識することなく透過的に利用することができる.