しかし,ディジタルデータは同等の品質を持つ完全なコピーを 容易にかつ大量に作成できるという性質を持つ. またサーバがユーザへとディジタルデータを一旦送ってしまうと, 送り先のユーザ自身によるデータのコピーを防ぐことはできない.
このようなディジタルデータの不正コピーの対策として, 電子透かしの技術を利用した 様々な手法が提案されている. これはあらかじめサーバがユーザにデータを送る前に, ユーザのIDをユーザ情報としてディジタルデータ中に埋め込んでおき, その後もし不正コピーが見つかった場合,埋め込まれたユーザ情報から 誰のデータが不正に再配布されたのかを 確認するという手法である. しかしそのほとんどの手法は, 全てのユーザ情報を管理し,不正者を特定するサーバを 完全に信頼できる機関として仮定することを条件としているため, サーバの不正の対策は考えられていなかった. ユーザが安心してシステムを利用するためにも, サーバの不正が防止できることが望ましい.
この解決案として,ユーザも電子透かし法に参加することでサーバの不正防止を 実現する手法が提案されているが, この手法はお互いが確実に電子透かしを埋め込んだことを確認し合う必要があるため, ユーザ自身がサーバとの複雑な対話を行なう必要がある.
本発表ではユーザに対して複雑な手続きを必要とせずに サーバやユーザの不正行為を特定可能な不正コピー防止システム を提案する.