照明条件の対話的変更を可能にするイメージベースレンダリング

松井 明 (9651099)


3次元コンピュータグラフィクスの生成やバーチャルリアリティ環境の構築の 際に,リアルな物体表現を行うための手法として,イメージベースレンダリン グ(Image-Based Rendering,IBR) という手法が提案されている. IBRとは,多視点画像を撮影し,ユーザの視点に 応じて3次元対象物体の2次元像を描画する手法である. 現在,IBRの研究は視点変化による物体 の見え方に着目しており,照明条件変化の影響による物体の光沢感の表現につ いては議論されていない. そこで,本論文では照明条件(位置,数,形状)の変更を可能にするIBR手法を提 案した.

本論文で提案する手法は{\bf 多光源画像}を用いて, 光源位置による 光沢感の表現を実現にした. 多視点画像がカメラを移動させて撮影した画像群であ るのに対し,光源を移動させて撮影した画像群のことを{\bf 多光源画像}と定 義している.多視点画像と多光源画像の概念を組み合わせることで,視点と照 明位置の変更が可能となる. この枠組みでは,蓄積する画像数が膨大になるためデータの圧縮が重要 となる.KL展開を用いた多光源画像の圧縮手法を提案し,実験により 良好な圧縮率,再生精度が得られることを示した. また,再生の際に加工を行い,照明の数および形状,強度の変更を可能にする 手法も提案した.

また,本手法を用いたアプリケーションとして,実照明を認識し,実照明に従っ て光沢感表現を行うシステムを構築した.