拡張現実感を用いたカード型情報管理システム

(9651081)


現実世界での作業において,その作業を補助する情報を作業者に提示できる 技術として,拡張現実感(AR: Augmented Reality)が注目されている. 従来のARを利用したシステムでは,予めデータベース中に登録された情報を 現実世界に重畳して提示するのみであり,ユーザは新たな情報を入力できな い.

そこで本研究では,ARの特徴を活かせる作業空間の提供を目的とし,提示さ れる情報をユーザが新たに入力する手法について検討した. また,入力された情報が多くなると,それらを分類・整理する手法が必要と なる. 本研究ではAR環境への提示情報を分類・整理する手法についても検討し,AR 環境におけるカード型情報管理システムを実装した. このシステムでは,AR環境への提示情報の入力として,小型カメラからの画 像情報を内容として持つ仮想的なカードをAR環境に生成する. また,3次元ポインタによる生成したカードの再配置,複製,消去及び複数 のカード間の関係付けにより,提示情報の分類・整理ができ,提示情報を階 層的に管理する.

また,実装システムの操作性を改善するために,カードの管理のためのイン タフェースとして実装したボタンメニューの提示手法に関する比較実験を実 施した. 実験の結果,作業環境の指定した位置に常に提示されるボタンメニューを用 いた作業時間が最も短く,表示中はその位置を変えないポップアップ形式の ボタンメニューに対する被験者の主観評価値が最も高かった.

本発表では,実装したカード型情報管理システムの機能,実施した比較実験 についてビデオを用いて説明する. また,本システムの応用例についても紹介する.  
図1: システムの提示画面と使用状況