動画像伝送環境 VINE の構築

中村 克之 (9851080)


現在、多種多様なメディアが存在し、映像は各メディア上に分散している。ユー ザがあるメディア上の映像にアクセスするためには、同じメディアからアクセ スする必要がある。すなわち、映像の利用者はそのメディアにアクセスできる ユーザに限定されてしまう。

異種メディア上にある映像へアクセスするためには、物理的にメディアの相互 接続が必要である。このとき、双方のメディアで意味を持った映像にするため には、相互接続ポイントでメディアの変換を行うことになる。近年、ハードウェ ア技術の発達によりメディアの変換が容易になっている。その結果、異種メディ ア上の映像にアクセスすることの問題点は、異種メディア上の映像をどのよう に指定するか、および、その映像をどのように取ってくるかかの2点に集約さ れた。

本研究では、AV機器をメディア上の映像資源とみなし、AV機器を一意に指定す るアドレス方式を定義し、さらに、指定されたAV機器間のコネクションを確 立する機構を提案した。相互接続されたメディアにおいて、AV機器間のコネク ションを確立することができる環境をVINE(Video InterNetworking Environment) と呼ぶ。VINEでは映像ストリームを交換する機能を持つマトリッ クススイッチャと制御用の計算機からなるVINEルータによりメディアの相互接 続を実現している。VINEルータは他のルータからの経路情報に基づいて、自律 分散的にメディアの経路制御を行う。その結果、相互接続できるメディアの規 模を拡大することができ、ユーザがメディア上でアクセスできる映像資源の数 が増大する。我々はVINEの実現を目指し、実際に動作する実験ネットワークを 構築し、その有効性を評価した。その結果、異種メディア上に分散する映像資 源へのアクセスを実現できた。