異種メディア上にある映像へアクセスするためには、物理的にメディアの相互 接続が必要である。このとき、双方のメディアで意味を持った映像にするため には、相互接続ポイントでメディアの変換を行うことになる。近年、ハードウェ ア技術の発達によりメディアの変換が容易になっている。その結果、異種メディ ア上の映像にアクセスすることの問題点は、異種メディア上の映像をどのよう に指定するか、および、その映像をどのように取ってくるかかの2点に集約さ れた。
本研究では、AV機器をメディア上の映像資源とみなし、AV機器を一意に指定す るアドレス方式を定義し、さらに、指定されたAV機器間のコネクションを確 立する機構を提案した。相互接続されたメディアにおいて、AV機器間のコネク ションを確立することができる環境をVINE(Video InterNetworking Environment) と呼ぶ。VINEでは映像ストリームを交換する機能を持つマトリッ クススイッチャと制御用の計算機からなるVINEルータによりメディアの相互接 続を実現している。VINEルータは他のルータからの経路情報に基づいて、自律 分散的にメディアの経路制御を行う。その結果、相互接続できるメディアの規 模を拡大することができ、ユーザがメディア上でアクセスできる映像資源の数 が増大する。我々はVINEの実現を目指し、実際に動作する実験ネットワークを 構築し、その有効性を評価した。その結果、異種メディア上に分散する映像資 源へのアクセスを実現できた。