以下では、提案手法の背後にあるアイデアおよび手続きの概略を簡単に紹介する。 与えられた目的項 s,t に対し、 それぞれの例の集合 W'(s) と W'(t) を考える。 さらに項書換え系 R が与えられているときは、 W'(s) から R によって到達可能な項の集合 W(s) を考える (同様にW'(t)についてもW(t)を考える)。 もし s と t が共通の変数を持たないならば、 s と t が単一化可能であるための 必要十分条件は W(s)∩W(t)≠φ である。 しかし一般に集合 W(t) は正則木言語ではないので この空判定問題は決定不能である。 そこで発表者はまず、 集合 W(s) および W(t) が正則木言語 であるような十分条件を提案した。 提案した条件下では W'(s) および W'(t) を受理する木オートマトン M'(s) および M'(t) を簡単に構成することができる。 次に、書換え規則に応じてこの木オートマトン M'(s) および M'(t) の状態と遷移規則を変更することにより、 W(s) および W(t) を受理する木オートマトン M(s) および M(t) を構成する。 構成された木オートマトンに対し、 その受理言語が空か否かを判定することにより、 単一化可能性の判定を行なうことができる。 発表者は木オートマトンの構成法を提案するとともに その健全性と完全性を証明した。
発表では、提案した手続きの概要および その手続きが正しく動くための十分条件を中心に述べる。