まず，画像と抽象的なユーザの要求を結び付けるものとしてルールが必要であると考え， ルールを扱うシステムとして知識ベースシステムを用いた． また，要求が曖昧な状況での画像探索を効果的に支援するための枠組として， デザイン理論を利用した．
デザインには (1) ill-structured problem solving， (2) open-ended design knowledge という二つの特徴がある． 前者を考慮した支援システムには， Human-Computer Cooperative Problem Solving (HCCPS) システムがある． 本研究では，HCCPS システムでユーザの意図明示化を支援するための手法として， アブダクションという推論に着目した．アブダクションは， 観察された結果および認識されている因果関係より， その観察された事象を最もよく説明する事象を引き出すための手法である． また，後者のopen-ended design knowledge を考慮した要素技術として， 進化的システムを用いた．
以上の枠組を基に，本研究ではマルチメディアコンテンツ作成における画像選 択のための画像ライブラリ探索支援環境である IAM-eMMa システムを構築した． IAM-eMMa システムは，意図明示化を支援するための手法としてアブダクショ ンを利用し，また，デザインにおける open-ended の問題を解決する進化的シ ステムの特徴を取り入れている．IAM-eMMa システムでは特に，他者の構築し たルールベースをも用いることにより，より幅広い「関連情報」の提示を行な う．本発表では，IAM-eMMa システムの利用法について述べ， IAM-eMMa システムを使って観察実験の分析結果について述べる．