エージェント間の通信既約の自己組織化に関する研究

河村 晃好 (9651038)


複数の自律エージェントで構成されるマルチエージェント系において,タス クを協調的,効率的に行なうためには,エージェント間のコミュニケーションが 要求される.コミュニケーションを行なうためには,エージェント間で通信規約 の設定が必要であるが,通信規約はエージェントをとりまく環境の変化に応じ た動的な変化が要求されるため,予め人間が設計することは困難な場合がある. そこで,本研究では,エージェント間で通信規約が予め統一されていなくても, 分類システムによる学習により,エージェント間で統一した通信規約が自己組 織化されることを,$2$次元追跡問題を対象としてシミュレーションにより 示し,タスクの難しさが増加するほど,通信規約の自己組織化に時間がかかる ことも確認した. また,複数の制御エージェントから,メッセージが同時に来るような競合があ る環境においても,エージェント間で通信規約を自己組織的に獲得する方法を提 案した.さらに,複数の均質,非均質な制御エージェントをおいた場合について, 通信規約の自己組織化への影響を考察し,非均質な制御エージェントがいる 環境では,エージェント間に役割分担が生じることも判明した.