アドレスプリフィクスの動的割り当て機構の提案と実装
河部 展 (9651037)
最近のインターネットの急激な成長によって引き起こされた経路情報の巨大化は、
インターネットの拡張性を制約しかねない深刻な問題となっている。対処法とし
ては、経路情報の集約技術であるCIDR(Classlesss Inter-Domain Routing)の利
用が有効である。
しかしながらCIDRが効果的であるためには、ネットワーク・トポロジーとの関係
を考慮しながらIPアドレスの割り当てをしなければならず、すでにIPアドレスを
割り当て済みのネットワークに対して適用することが困難である。したがって、
より効率的な経路制御を目指そうとした場合にはIPアドレスの再割り当て、つま
りリナンバリング(Renumbering)が不可欠である。リナンバリングの必要性に対
しての認識は徐々に広まりつつあるが、費やされる経済的・人的コストが妥当と
はいい難く、実際にはほとんど進んでいないのが現状である。
発表ではまず、バックボーン・ネットワークにおける経路情報の状況について説
明をした後、リナンバリングの必要性について述べる。次にリナンバリング実行
の際に問題になる点を指摘し、解決法として 1.) IPアドレスを従来の半固定的
な割り当てから、任意の時点で再割り当てを可能とする動的割り当てへの見直し
の提案、2.) 組織内でのリナンバリングに要するコストを削減するための、プラ
イベート・アドレスとアドレス変換機構の利用の積極化、3)リナンバリングのコ
ストを最小化するPASシステムの提案、をそれぞれ行う。
また、PASシステムを適用したリナンバリング環境に関して、新たに定義をした
PASプロトコル、運用方法、効果について説明する。