ソースIPアドレスを考慮した経路制御システムの構築
〜地域IXにおける経路制御問題の解決〜

鍜治 武志 (9651027)


IXモデルのインターネットでは、管理主体の異なるネットワークに接続してい るホスト間通信は、必ずIXを経由する通信路で通信が行われる。そのため、IX にトラヒックが集中し、IXに至るまでの経路に輻輳が発生している。また、地 方都市でインターネットを利用する場合には、地域内通信であってもIXを経由 する冗長な通信路で通信が行なわれる可能性があり、その場合には、通信に遅 延が発生する。

IXに集中するトラヒックを軽減し、地域内通信を地域内に閉じるために地方都 市において地域IXの構築が試みられている。地域IXの1つである岡山インター ネットエクスチェンジ(OKIX)は、インターネットへの接続性を持つGISP (Global Internet Service Provider)が複数接続している先進の形態の地域IX である。OKIXの下流には複数のRISP(Regional Internet Service Provider)が 接続しており、RISPは任意のGISPと契約することによって、インターネットへ の接続性を確保している。しかしながら、GISPは契約関係のあるRISPのパケッ トのみをインターネットへ中継するため、RISPのパケットが契約関係のない GISPに送信された場合には、通信が不能になるという問題が発生する。 したがって、インターネットへの接続性を複数持つ形態の地域IXにおいては、 RISPのパケットは契約関係のあるGISPに正しく送信される必要がある。

発表ではまず、IXモデルのインターネットにおける問題点を指摘し、地域IXが 出現してきた理由について述べる。次に、既存の技術を用いたOKIXの実現法に ついて考察し、それぞれの実現法の問題点について述べる。そして、それらの 問題点を満足させ、OKIXにおける経路制御問題を解決する新しい経路制御手法 として、ソースIPアドレスを考慮した経路制御システム(STAR)を提案する。最 後に、STARの性能を測定した結果を示し、地域IXにおける運用の可能性につい て考察する。