IXに集中するトラヒックを軽減し、地域内通信を地域内に閉じるために地方都 市において地域IXの構築が試みられている。地域IXの1つである岡山インター ネットエクスチェンジ(OKIX)は、インターネットへの接続性を持つGISP (Global Internet Service Provider)が複数接続している先進の形態の地域IX である。OKIXの下流には複数のRISP(Regional Internet Service Provider)が 接続しており、RISPは任意のGISPと契約することによって、インターネットへ の接続性を確保している。しかしながら、GISPは契約関係のあるRISPのパケッ トのみをインターネットへ中継するため、RISPのパケットが契約関係のない GISPに送信された場合には、通信が不能になるという問題が発生する。 したがって、インターネットへの接続性を複数持つ形態の地域IXにおいては、 RISPのパケットは契約関係のあるGISPに正しく送信される必要がある。
発表ではまず、IXモデルのインターネットにおける問題点を指摘し、地域IXが 出現してきた理由について述べる。次に、既存の技術を用いたOKIXの実現法に ついて考察し、それぞれの実現法の問題点について述べる。そして、それらの 問題点を満足させ、OKIXにおける経路制御問題を解決する新しい経路制御手法 として、ソースIPアドレスを考慮した経路制御システム(STAR)を提案する。最 後に、STARの性能を測定した結果を示し、地域IXにおける運用の可能性につい て考察する。