分類子システムを用いた衝突回避問題における適応戦略獲得方式

江谷 典子 (9651016)


表現しきれない複雑な環境との相互作用から系の挙動を決定し、適応行動がとれるような情報処理機構の構築では、進化論的計算手法が着目されている。

人工知能においては、定義された知識を正しく記述することにより、その知識が対象とする世界あるいは問題に対して正しく機能してきた。しかし、計算機やロボットが環境との相互作用から適応行動を学習していく知識を正しく記述することは設計者には困難であることが指摘されている。計算機やロボット自身により初期知識(あるいはルール)を書き換え、新しいルールを生成し、自己行動を適応的に修正できるような処理機構の構築が課題である。

本研究では、進化論的計算手法のひとつである分類子システムを用いて、適応戦略を獲得するための処理方式について論じる。分類子システムとは環境との相互作用により環境情報を内部処理システムに取り込み、その情報に基づき行動を修正し、生成し、決定できるシステムである。適応戦略を獲得し、環境への適応度の高いシステムを構築するために、環境から情報を取り込む環境メッセージに着目し、そのメッセージへ環境状態をエンコードする方法について述べる。また、衝突回避問題のシミュレータを開発し、その方法を評価した。