この問題を解決するために,サービス統合ネットワークが考え出された.サー ビス統合ネットワークでは,実時間トラヒックと非実時間トラヒックが共通の ネットワーク資源を共有し,互いの品質に悪影響を与え会う.したがって,実 時間トラヒックの要求するサービス品質を保証する機構を実現する必要がある.
サービス統合ネットワークを実現するためのスケジューリングに関する研究は 多く存在する.しかし,Weighted Fair Queue (WFQ) 等の多くの研究は,交換 機においてそれぞれのフローもしくはコネクション毎にバッファを要求する方 式であり,大規模ネットワークに適応しない.なぜなら,(1) フローの設定や 解放は頻繁に起こり得ることであり,(2) フローの数は,(巨大ネットワーク の中心ノード等で)極端に大きくなる可能性があるからである.
この論文では,同一のQoS要求を持ったフローを共通のバッファで管理する方 式について考察する.この方式は,交換機におけるバッファの数が制限される ので大規模ネットワークに適応可能である.そこで,実時間通信として Constant Bit Rate (CBR)トラヒックを,非実時間通信として Unspecified Bit Rate (UBR)トラヒックを利用し,それぞれを単一のバッファで管理し, CBRバッファに non-preemptive プライオリティを与えた場合の CBR パケット の待ち時間分布を解析により導出した.様々な数値結果を用いて決定的遅延限 界と99.9パーセンタイル遅延時間を始めとする統計的遅延限界を比較した.
その結果,CBRパケットが遅く到着することによるパケットロスを許容できる ならば,統計的遅延限界に基づく Call Admission Control (CAC) はネット ワーク資源を有効に利用可能であることが示された.