Delay analysis for CBR traffic in static-priority scheduling /

『Static-Priority Scheduling における CBR トラヒックの遅延特性』

Katsuyoshi IIDA / 飯田勝吉 (951007)


現在インターネットにおいては,実時間通信等の新たなアプリケーションが新 しい通信サービスとして出現している.しかし,現行のネットワークは最善努 力型(best-effort)サービスをサポートしているのみである.さらに,このよ うなアプリケーションはネットワークに対しバンド幅,遅延,遅延時間のゆら ぎ(jitter)やパケットロスといったサービス品質(QoS)の保証を要求する.

この問題を解決するために,サービス統合ネットワークが考え出された.サー ビス統合ネットワークでは,実時間トラヒックと非実時間トラヒックが共通の ネットワーク資源を共有し,互いの品質に悪影響を与え会う.したがって,実 時間トラヒックの要求するサービス品質を保証する機構を実現する必要がある.

サービス統合ネットワークを実現するためのスケジューリングに関する研究は 多く存在する.しかし,Weighted Fair Queue (WFQ) 等の多くの研究は,交換 機においてそれぞれのフローもしくはコネクション毎にバッファを要求する方 式であり,大規模ネットワークに適応しない.なぜなら,(1) フローの設定や 解放は頻繁に起こり得ることであり,(2) フローの数は,(巨大ネットワーク の中心ノード等で)極端に大きくなる可能性があるからである.

この論文では,同一のQoS要求を持ったフローを共通のバッファで管理する方 式について考察する.この方式は,交換機におけるバッファの数が制限される ので大規模ネットワークに適応可能である.そこで,実時間通信として Constant Bit Rate (CBR)トラヒックを,非実時間通信として Unspecified Bit Rate (UBR)トラヒックを利用し,それぞれを単一のバッファで管理し, CBRバッファに non-preemptive プライオリティを与えた場合の CBR パケット の待ち時間分布を解析により導出した.様々な数値結果を用いて決定的遅延限 界と99.9パーセンタイル遅延時間を始めとする統計的遅延限界を比較した.

その結果,CBRパケットが遅く到着することによるパケットロスを許容できる ならば,統計的遅延限界に基づく Call Admission Control (CAC) はネット ワーク資源を有効に利用可能であることが示された.