分解可能符号に対して軟判定繰り返し復号を
用いた準最尤復号に関する研究

麻谷 淳 (9651002)


誤り訂正符号において, 高い信頼性と, 高い伝送効率を同時に達成しようとするならば,符号長nを大きく, 最小距離もnに比例して大きく取る必要がある. 最尤復号法 は, 最小の復号誤り率を達成する復号法であるが, 符号長nの増大に伴い, 復号複雑度が指数関数的に大きくなり, 実際に用いることが困難になる. そこで,簡単な構造をもつ成分符号を用いて符号長の大きな符号を構成し, 成分符号毎に逐次的に復号を行う多段階復号法が有望である. 当然のことながら, この復号法は,各成分符号の復号が最尤復号されたとしても, 全体としては,準最尤復号となる. しかしながら,計算量は大幅に低減される.

符号の部類の一つに分解可能符号がある. このクラスの符号は,成分符号に分解することができ, 成分符号毎に 多段階復号を行なうことができる. 本発表では,分解可能符号 に対して, 各復号段の間で軟判定値を受け渡す繰り返し復号を用いた 画期的な復号アルゴリズムを与える. (64,22)と(64,42)の2元Reed-Muller符号に対して, 提案したアルゴリズムを適用したときの 誤り確率の解析を 計算機シミュレーションにより行なった. 変調方式はBPSK,通信路にはAWGN通信路を仮定した. シミュレーション結果は, 提案した復号法を用いることにより, 復号誤り率をそれほど大きくすることなく, 大幅な計算量の減少が可能なことを示している.