衛星回線を利用した遠隔超音波画像診断プロジェクト報告

水間 玲(9551108)


本研究では、多くの利点を持つ超音波画像診断について注目し、遠隔超音波画像診断を 可能にするための必須技術となる超音波画像転送システムの構築をした。

従来の研究では、動画像の全画面を圧縮、転送していたために 大きな遅延時間が生じてしまい、計測側と診断側の円滑なコミュニケーションが 阻害されるおそれがあった。そこで本研究では転送領域を限定することで 遅延時間をできるだけ小さくし、かつ診断に必要なフレーム数を確保することを 目的とした。

次に本システムを使って通信衛星JCSAT-1で結んだ 2Mbpsの通信回線上で転送実験を行なった。 その結果、診断側で 診断に必要な領域を転送領域として自由に設定することにより、 診断に必要なフレーム数を確保することができた。 例えば64階調の場合、サイズを130$\times$130にして心臓弁の表示を行なったが、 表示速度は、超音波診断装置から出力されるフレームレートと同等の 毎秒15フレームであった。 また遅延時間は最大でも2秒弱であり、MPEGなどを用いた従来の転送方法に比べ 抑制することができた。

したがって、本システムは、診断に利用するに足る転送遅延の少ない 動画像を提供するシステムとして、 今後の遠隔医療の普及への一助になると考えられる。