分散環境におけるプロセス移送機能の実現に関する研究

松口 正昭(9551100)


近年,インターネットなどの情報ネットワークに接続された計算機の数は急速に 増加している.しかしこれらの計算機が全て利用されているわけでない.それら の中には全く利用されていない計算機も含まれており,これらの使用されていな い計算機を有効に利用して分散処理行うことができればシステム全体としての性 能向上を図ることができる.このような分散環境を実現するためにはシステムと して新たな機能が必要である.

プロセスをノード間で動的に移動させるプロセス移送は分散環境を実現する有力 な手法の1つである.これまでにも様々なシステムでプロセス移送が実現されて いるが,これらの中で広く利用されているものはなくその手法は確立されていな い.

本研究では分散環境を構築する上で必要不可欠となるプロセス移送機能の実現手 法について検討し,応答時間の短縮やスループットの向上を実現するための負荷 分散や耐故障性の改善などといった様々な要求に応えるプロセス移送機能の設計 を行った.さらに,ユーザが独自のメモリマネージャを作成することが可能な Machオペレーティングシステム上において,プロセス移送機能を実現するために 必要となる移送マネージャの実装を行った.

今回の発表ではプロセス移送機能の設計・実装について示し,Mach上へのプロセ ス移送機能の実現の利点及び問題点について明らかにする.