全周画像を用いたロボットオペレーションシステム

松井 良一 (9551099)


未知な環境を探査する場合には,大別して人間が直接行う方式と,ロボット に行わせる方式とがある.前者の場合は興味ある事物に対して即座 に情報収集を行えるが環境によっては身体に非常に危険でり,後者の場合は ,人間は比較的安全であるが情報収集のためにロボット やカメラの面倒な操作が必要であったり一度に大量の情報を得ようとすれば 装備が大規模になる.また両者の場合について,複数で同時に 作業を行う場合にはお互いに邪魔になることがある.

そこで次のようなシステムを考える. 方向検出装置を付けた Head Mounted Display(HMD) をオペレータに装着し, 随時オペレータの頭の方向を計測する.一方,移動ロボットに全周画像センサー(HyperOmni Vision 以下 HOV) を載せ,全周画像(HOV 画像)を得る.HOVは自分周り 360 度方向を一度に 撮影できるセンサーであるが,そのために 普通の透視変換されたカメラ画像に比べ歪んでいる. しかし,HOVはその画像から焦点を視点とする透視変換画像を生成できる特徴を 持つ.ここで,HOV 画像の画像中心にオペレータが居るものとして,オペレータの 頭の方向に対応する透視変換画像を生成しそれをHMD に送ることで, まるで移動ロボットにオペレータ自身が居るような感覚を覚えさせることができる. これは,オペレータは直接環境に降り立つ必要やカメラ操作の必要無しに興味ある画像 を得ることができることを意味し,しかもロボットにセンサーを積んでいるのでオペレー タは 安全である. また,透視変換画像は同視点でものを同時に複数枚生成できるので, 複数のオペレータで作業を行った時も,その画面に他者が映ることは無い.

今回提案するシステムは冒頭で述べた2つの方式の長所を 生かし短所を解決することを目的としている.