部分輪郭群の回転角を考慮した破片接合部位検出

堀 謙太 (9551098)


考古学分野において土器の復元作業は現在,人の手により行われているが, 大変手間のかかる作業であり,そのために大変多くの土器破片群が復元されな いまま保管されている.実際,人手で土器の復元を行った場合には,1つの土 器を復元するのに1〜3週間を要する.また,復元作業中に誤って破損すること も考えられる.計算機上での土器復元作業の自動化の実現は,人的労力の軽減, 保管時,展示時の安全性の向上等の点から,考古学分野に貢献する.

土器復元の自動化を実現する場合,いくつかのアプローチが考えられるが,本 研究ではそのうちの一つである,破片同士の接合の自動化を目標としている. 本論文では,このうちの接合部位検出の実現のための基礎技術としての,2次 元の接合対からの接合部位検出手法を提案する.

2次元の接合対からの接合部位検出については,Matching Score Array(MSA)を用い た手法が提案されているが,この手法にはパラメータに強く依存するという問 題がある.この問題は,MSAには隣接する部分輪郭同士の位置関係が反映され ないことが原因として考えられる.そこで本論文ではMSAに加えて部分輪郭組 のマッチングにおける回転角を用いることで,これらの問題に対処している.

本発表ではまず従来の手法の問題点について説明した後に,提案手法について 説明する.また,提案手法の有効性を確認するために実験を行ったので,その 結果を示す.

キーワード:マッチングスコアアレイ,接合部位検出,P形フーリエ記述子, 土器破片群,回転角クラスタリング