題目 2点注視を行なうロボットの実時間制御による2点間への誘導

名前 苗代 隆司 (学籍番号) 9551084


近年,移動ロボットのナビゲーションに関する研究が盛んに行なわれている. その際に用いる移動ロボットは環境内を移動するための台車部,環境の様子を取り込むためのセンサー部,センサー情報を処理するための計算機部の3つから成り立っている場合が多い.

センサーにはいろいろな形式があるが, 外界に能動的な影響を与えることなく,環境情報を取り出すセンサとして視覚センサがある. 視覚センサから得られる環境画像から,ある特徴量やランドマークなどを 画像処理によって抽出し,次時刻のロボットに与える移動量を計算する, ということを繰り返しながら,ロボットの移動を軌道制御するビジュアルフィードバックと呼ばれる制御方法を用いてナビゲーションを行なう研究が盛んに行なわれるようになってきた.

ところで,ロボットを室内環境においてある目的地まで誘導する場合,その途中で幅の制限された,通路やエレベーターを通過する場合がある.しかしロボットが今いる場所から,比較的幅の制限された場所まで誘導する手法についてはあまり研究されていない.そこで本研究では2台のカメラを備えた移動ロボットを,幅の制限された空間に連続的な制御により誘導する手法を提案する.

具体的には,ロボットと目標点との位置関係よりシステムの状態方程式を導出する. 一方,独立に回転可能な2台のカメラが各々に一番近い垂直線を捉え続けることにより得られる左右カメラの回転角度を状態変数,ロボットの直線速度,回転速度を制御入力とする.続いて,これに積分補償を施したシステムに対して最適制御理論に基づく軌道制御入力を導出する. 提案した手法について,その有効性を確認するために,実機を用いた実験を行なった.