食道発声音声の声質改善に関する研究

土井 剛(9551072)


喉の疾病等の理由により、 発声器官である声帯を手術で切除してしまうことがある。 この場合声帯を使って声を出せなくなるが、 訓練により食道管壁の振動で声を出すことができる。 このような音声を食道発声音声と呼ぶ。

食道発声音声は、声帯の音源情報を欠くため聞きづらいものとなってしまう。 本論文では、ケプストラム分析とLSSE-MSTFTM法による 位相推定を用いることによる、食道発声音声の改善を試た。

ケプストラム領域で健常者の音源情報を入れ換えるという手法で 改善を試みた食道発声音声は、聴取実験により、 90%以上の高い割合で良くなったと判断された。 また、健常者の音源情報を用いないでの食道発声音声の改善 を試み、こちらでも聴取実験から66.7%の割合で良くなったと判断された。