2つのマニピュレータによる協調動作のための 分散制御

谷本 茂雄 (9551062)


対象物をマニピュレータ間で受け渡したり、 2つのマニピュレータを使って持ち運んだりする際に、 互いに協調して位置制御と力制御を行う必要がある。 集中制御型システムでは、協調するため、 全てのマニピュレータは遅延なく集中コントローラ に送らなければならない。 一方、集中コントローラは、各関節にトルク指令を 遅延なく送らなければならない。 さもなければ、制御動作が遅れ、手先位置が目標位置からずれたり、 対象物を落下させることが起こる。

本論文では、 集中コントローラにおける通信の遅延を避けるため、 マニピュレータの数に関するスケーラビリティの観点からも、 コントローラを分散する。 このため、相手のマニピュレータの 未知の状態量を、手先位置に関する拘束条件から 推定する方式を提案した。 制御系設計では、2つのマニピュレータからなる 非線形システムを入出力線形化によって 線形システムに変換して取り扱う。 設計仕様として、 出力に対する外乱の影響を $H_2$ ノルムを用いて評価する。 さらに、シミュレーションによってこの制御方式の有効性を示した。