結託攻撃まで考慮した電子透かし法

鈴置 昌宏 (9551053)


近年のネットワークの普及に伴い, ネットワークを利用したデータ提供サービ スが盛んになっている. 例えば, WWW上で画像データ等を配布するサービスな どがある. これらのサービスにおいて扱われるデータの多くは, 有料であったりあるいは再配布を禁 じられたものである. また, サービスを受けるためにユーザ登録をしなければならないところも多い.

現在, ネットワークを通じてデータを配布するという事から問題が生じている. 不正コピー問題である. ネットワークを通じて ユーザにデータを配布してしまうと, その配布されたデータをユーザがコピー するという行為をサービスを行う側が防ぐことは不可能である. また, 扱われ るデータはディジタルデータであるため, 何度コ ピーを行ってもその内容が劣化したり損なわれることは無い.したがって, オ リジナルのデータと何ら遜色ない不正コピー品が大量に世に出回る可能性があ る. このような行為が行われた場合, データの持つ著作権が侵害されたり, サー ビスを行う側が利益を得られないという問題が生じる.

不正コピーという行為そのものを防ぐことはできないため, 不正コピーを行っ たユーザを特定する技術として提案されたのが電子透かし 法である. しかし, 現在提案されている電子透かし法の多くは, 画像 処理によって埋め込まれた情報を容易に消すことが可能である. これは, 情報を埋め込む方法に問題があるためである.

データに画像処理を加えても埋め込んだ情報を消されないような安全な埋め込 み方法も提案されているが, ユーザが結託攻撃を 行うことによって自分達が不正ユーザであると特定されないようなデータを作 ることが可能である. これは, ユーザ情報の符号化法 に問題があるためである.

以上の問題を解決するため, 埋め込んだ情報を消されない安全な埋め込み法が 存在するという前提のもと, 結託攻撃を考えたユーザ情報の符号化法が提案さ れている. しかし, ユーザ情報の符号化法が完全なものでないため, 不正でな いユーザを不正であると特定させるような攻撃が行われた場合, 攻撃方法によっ てはその成功確率がやや高くなってしまうという問題点を残している.

本発表では, 安全な埋め込み法が存在するという前提のもと, 結託攻撃に強くかつ先の結託攻撃を考えた方法の問題点を解決し た電子透かし法を提案する.