免疫論的外乱除去システムの性能評価と改良

塩谷秀作 (9551048)


近年、工学的な分野において、生物系が持つ各種情報処理機構を応用した研究が数多く見られる。その中の一つに免疫細胞が持つ、多様性・特異性・免疫記憶・自己寛容という4つの特徴を応用した試みがある。具体例として、直流モーターのフィードバック制御系における外乱除去システムというものが存在する。モーターという極めて一般的な部品の制御においては、その使用状況も様々であるためにどんな外乱が入りうるのか想像がつかない。そこで免疫系が持つ適応能力を利用して、そのような外乱も除去が可能になった。この方法は、制御理論的なフィルタリング手法と比較して広い周波数範囲に渡る外乱を除去することが可能あるが、時間がかかるという欠点を持っている。そこで、いろんな外乱に対して前もって曝すことで記憶型エージェントを用意しておき、除去すべき外乱があれば、そのエージェントを用いることによって除去に要する時間を短縮することが可能になった。ここではその手法とシミュレーション結果を報告する。