Performance of UDP Based Real-Time Communication on Wide Area Networks

澤島 秀成 (9551047)


インターネットに代表されるような広域ネットワークにおいて、ネットワーク 会議のような実時間通信が急速に広まっている。しかしながら、現在のインター ネットでは、best-effortサービスのみを提供している。したがって、 このようなネットワークにおいて、実時間通信を行うことは、遅延や遅延ゆら ぎ、パケット廃棄などにより、その通信品質(QoS)を著しく損じる結果となる。

一般に、広域ネットワークにおける実時間通信は、その実時間性を満足させる ためにUDPが用いられることが多い。 しかしながら、広域ネットワークにおい て使用されているトラフィックの約80%は、TCPトラフィックである。TCPは UDPと異なり独自のフロー制御機構を持つために、これらが混在した広域ネッ トワークにおけるUDPのトラフィック特性は、TCPの影響を大きく受けることに なる。

本発表では、最初に、広域ネットワークにおける、UDPを用いた実時間通信の 性能評価を考えるために、実時間通信のQoSについて言及し、実時間通信にUDP を用いる場合の利点・欠点について紹介する。次に、TCPとUDPが混在する広域 ネットワークについてシミュレーションを行い、UDPのパケット廃棄特性をTCP のフロー制御の挙動との関係から調査した結果を紹介する。

複数のTCPコネクション間において、その輻輳ウィンドウのサイズ変化に 同期が見られる場合、UDPの廃棄率が著しく大きくなり、そのバースト性を示 す連続廃棄数も増加することが分かった。また、音声通信では、UDPの パケットサイズを小さくし、また、高い送信レートで送信を行った場合におい て、UDPのパケット廃棄率が少なくなることが分かった。 また、TCPの輻輳ウィンドウサイズに同期がみられない場合においては、 FEC(Forward Error Correction)パケットをデータパケットに付加 することにより、パケット廃棄による情報の欠落を補償出来ることが分かった。