増殖をともなう侵入者/防御者エージェントにおける行動戦略

佐野 敏幸 (9551046)


免疫系のようなシステムにおいては 被食・捕食系と異なり、個体の増殖ということが戦略として大きな意味を持っ てくる。 また、被食・捕食系では被食者が絶滅もしくは減少すると、捕食者も絶滅もし くは減少の危機にさらされるのに対し、 免疫系では、免疫細胞はウイルスや細菌などの侵入者を絶滅させる ことを目的としている。

本研究ではコンピュータウイルス、ウォームなどの防御を念頭において増殖の あるエージェントを、侵入者・防御者に分けて2次元格子上で対戦させるシミュ レーションを行なった。 実験の結果から侵入者・防御者それぞれの側の戦略としていかなる戦略がよい かということについて考察をした。

いくつかの典型的なモデルにおいて、次のような結果がわかった。 侵入者までの距離が閾値以下になったときに増殖をするような防御者では、あ る程度離れたところから増殖をした方がよい。 防御者は「増殖のみ」「追跡のみ」「追跡しながら増殖」という戦略の 内では、「追跡しながら増殖」がよい。侵入者は「増殖」「移動」の内では「増 殖」がよい。