段階的なモデルマッチングによる動画像における

歩行者の追跡と映像合成への応用

草地 良規 (9551033)


現実には存在しないシーンや撮影が困難なシーン を映像合成により創るには, 創作された映像の中の物体間の隠蔽関係や床と人物の接地関係 など, 物体間の位置関係が矛盾しないことが望まれる. 動画像中の人物を他の人物に入れ換えると, 合理的な位置関係を保った映像合成が可能である. そのためには, 動画像中の人物の動き情報の抽出と 入れ換える人物の3次元CGモデル が必要である.

本発表では,動画像中の人物を入れ換える映像合成手法の基礎として, 固定カメラで撮影された動画像中の,直線的に歩行する 人物を入れ換える映像合成手法を扱う. まず,動画像中の人物の動き情報を抽出するために 段階的なモデルマッチングを提案する. 本手法は,人間の3次元モデルのパラメータを 段階的に求めて探索の計算コストを削減し, 脚の交差などによる自己隠蔽問題を解決する手法である. 次に,人体を関節物体とみなして, 人物の3次元CGモデルを構築する手法を提案する. 最後に,実画像に 対し歩行者追跡及び映像合成実験を行ない, 矛盾のない位置関係を保った映像合成が可能であることを示す.