分散システムにおける負荷状況とデータ通信の視覚化に関する研究

木和田 智子 (9551032)


複数のプロセッサにタスクを分散させて実行する分散システムにおいては、タ スクの分散、すなわち負荷分散が適切であるか否かが、全体の効率に大きく影 響する。一般には、効率的な負荷分散を行なうためには動的に負荷を分散させ ることが必要である。しかし、効率的な負荷分散を行なう分散システムの開発 は容易ではない。その大きな問題の一つに、分散システムにおける実行状況の 理解が難しいということがある。

本論文では、この分散システムの実行状況の理解の支援のための視覚化システ ム、ロードチャートについて述べる。ロードチャートは、分散システムにおけ る負荷分散アルゴリズムを直観的に評価するために、分散システムの動作を、 実際にプログラムを実行して得たトレースデータを基に、視覚化する。負荷分 散アルゴリズムの評価基準には絶対的なものがないため、ロードチャートでは、 タスク移動ビュー、タスク制御命令ビュー、データ通信ビューの三つの視覚化 法を用意し、異なる評価基準による視覚化を実現している。ロードチャートに よって、分散システムの実行状況が容易に理解でき、負荷分散アルゴリズムの 視覚的な評価が可能になったことを、例を用いて示す。