学習効果による作業効率の変化を考慮したソフトウェア開発進捗モデル

桐村 和也 (9551031)


近年,ソフトウエア開発に関する技術の変化は目覚しいものがある. オブジェクト指向技術や再利用技術,また新しい開発環境など 開発技術は,日進月歩であり,しかも習得が容易でないことも多い. また,ソフトウエアの需要は多く,新しい技術習得のための十分な 時間を費やすことができなくなっている. そこで,ソフトウエア開発者は開発を行ないながら, 新しい技術を次第に習得することによって,ソフトウエア開発と 技術習得を同時に行なうようになってきた. このような開発形態において,ある作業の生産性(単位時間あたりの作業量)は 開発期間中終始一定でなく,開発が進むにつれて技術習得も進み,生産性は向上していくと 予想される. そこで本研究では開発者の学習効果(作業の習熟)による作業効率の変化を考慮した ソフトウエア開発進捗モデルを提案する.本モデルは,潜在特性を求める確率モデル (オージブモデル)を用いて,開発者の持つ知識量で実現できる生産性と, 未習熟な作業を行なうことにより開発者の知識量が増加する現象を 組み合わせたものである. この組合せにより,習得した知識量の変動による開発者の 作業効率の変化があらわせる進捗モデルとなっている. 本モデルのシミュレーションを行ない, 必要な開発期間の検討をした結果,生産性のみで単純に開発期間が求まらないことが わかった.