本研究では,3次元CADシステムを使用し,従来,建築家がデザイン検討の 一手段として用いてきたボリューム模型に相当する3次元のモデルをコン ピュータを使用して作成することで,建築家が手元で簡単にデザイン推敲 作業を行なえると考えた. しかしながら,既存のCADシステムは操作が複雑すぎるため.建築家が デザイン検討作業を行いながら操作することが難しくなっている. そこで,簡便で直観的な操作インタフェースを持つCADシステムの構築が 必要となってきた.
以上の背景より,本研究では建築家のデザインプロセスを尊重する方針に基 づき,建築家のスケッチ描画プロセスを3次元CADシステムに導入することと した.これは,スケッチを描くという行為が,建築家のデザインに対する 思考を妨げないからである. そして,このプロセスによって生成されるスケッチ画像をプリミティブ (基本立体図形)の表面にテキスチャマッピングすることで簡易モデルを作成 し,この簡易モデルを活用した,直観的で簡便な操作による3次元モデリング 手法を提案する.
また,提案手法を実装したシステムを使用して評価実験を行い,望ましい インタフェースの方向性と本研究の妥当性について検証した. その結果,提案手法による3次元モデルの生成作業は,建築家のデザイン 検討工程において十分に利用価値があるという結論を得た.