赤外線カメラとレーザ距離センサによる侵入者検知システム

上田 晃穂 (9551010)


危険区域や重要施設における侵入を監視し、 防犯・防災に役立てるセキュリティシステムは、 人の目視に頼っている部分が大きい。 近年、画像処理技術を用いて監視業務を自動化する研究が盛んに行 われている。

本研究は、夜間でも撮影可能な赤外線カメラと、 注目対象までの距離を計測できるレーザ距離センサを併用した 自動侵入監視システムを構築するものである。

まず、画像処理によって得られる形状情報を判別に用いるためには、 速く正確でロバストな侵入物体の抽出を行う必要があるため、 様々な侵入物体の抽出法について検討した。 実時間処理を実現するために、サブサンプリング処理を行った後、 背景画像との差分により侵入物体を抽出する手法を行うことにより、 ほぼ正確な形状が抽出可能であることを確認した。

次に、形状情報と高さ情報の総合的評価を用いた判別法については、 侵入物体を追跡しながら射影・高さ・面積率を用いた判別を重ねていく ことにより、侵入者の見逃しや誤検出を避けることが可能であることを 実験により検証し、本手法はシステムの信頼性向上に寄与できることを 確認した。

また、これらの手法を実現した侵入者検知システムを構築し、 実環境に対して侵入監視を行った結果、平均処理速度1.8秒/フレーム、 侵入者検出率84.3%、侵入者警報信頼率98.6%の結果を得た。

これらの検討を踏まえ、本侵入者検知システムにおける問題点を明確にし、 形状情報と高さ情報の総合的評価を用いた侵入者検知の実用化に 向けての見通しを得ることができた。