第4章 全学情報環境設備機器
4.1 全学統合情報ネットワーク
4.1.1 学内ネットワークの構成
学内ネットワークは,目的別に構成された複数のバックボーンネットワークと各フロアに配置された支線ネットワークで構成されている。支線ネットワークは現在10MbpsのEthernetを中心に構成されているが,これらは順次100MbpsのEthernet等に置き換えられることが期待されている。
バックボーンネットワークは,HUB間を1Gbpsで接続するUltraNetによって構成される通常トラフィック(ファイルサーバへのアクセスや電子メール等の通信)を流通させるものと,スイッチ型のFDDIネットワークで構成される電子図書館等へのアクセスを行うためのマルチメディアネットワークが現在用いられている。これらは,ネットワークに流通するデータのトラフィック形態によって分割され,それぞれが協調して動作するようになっている。また,これら2重のネットワークを構成することにより一方に障害が発生した際にも他方で補うことができるため,学内の情報環境の根幹を担う統合情報ネットワークを停止させることなく運用ができるようになっている。
また,現在通常トラフィック用バックボーンネットワークを,ラベルスイッチング技術を用いたネットワークへの移行を準備しており,学内において運用実験を行っている。
4.1.2 学外との連携
対外接続については,東京,京都,大阪への専用回線が設置されているが,これらはWIDEプロジェクト,IMネット,Internet 2 Project,APAN等国内外のインターネット組織との連携によって円滑に行われている。
現在,もっとも太い回線は3Mbpsの容量を有しているが,昨今のデータ量の増大によりより高速な回線の必要性が認識されている。こうした容量の増強では,本学の持つ回線を増強するだけでなく,他のインターネット組織と連携しながらの設備配置が必要不可欠である。また,これら国内外のインターネット組織とは,単に運用における協調だけでなく,次世代のインターネット構築にかかわる技術開発,研究活動等,協調すべきテーマは多数あり,それらにも情報科学センターは積極的に関わっている。すなわち,日常業務としてのネットワーク運用と研究活動を明確に区別するのは難しく,先進的なネットワーク研究とネットワーク運用の密な連携が欠かせない。
4.2 全学情報環境システム
本節では,全学情報環境システムを構成するサブシステムの導入目的と機能概要について述べるとともに,現在稼動している機器を示す。
4.2.1 個人常用ワークステーション
(情報科学研究科,バイオサイエンス研究科,物質創成科学研究科,他)
個人常用ワークステーションシステムは,本学における教官,職員,学生が使用し,全学情報環境システムにおける利用者の活動の基盤として機能する。従って,全学情報環境システムに生成/蓄積された情報へのアクセス,情報の作成/編集などの機能を提供する。さらに,大学院における各個人の日常の研究活動を支援するために,マルチメディア機能から文書処理,簡単な計算までの機能を提供する。
平成6年度導入:DEC pcXL590
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)研究常用ワークステーションシステムA
平成6年度導入:PowerMac 6100/60AV
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)研究常用ワークステーションシステムB
(2) 事務系常用ワークステーションシステム
平成7年度導入:DEC Alpha Station 200 4/100
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)研究系常用ワークステーションシステムA
平成7年度導入:PowerMac 7500/100
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)研究常用ワークステーションシステムB
(2) 事務系常用ワークステーションシステム
(a)デスクトップシステム
(b)サーバシステム
平成8年度導入:SGI O2
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)情報系常用ワークステーションシステムA
(b)情報系常用ワークステーションシステムB
平成8年度導入:PowerMac 7200/120
(1) バイオ系常用ワークステーションシステム
(2) 事務系常用ワークステーションシステム
(a)事務系常用ワークステーションシステムA
平成9年度導入:DEC Alpha Station 255/300
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)情報系常用ワークステーションシステム
平成9年度導入:UMax Pulsar 2330VR
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)バイオ系常用ワークステーションシステムA
平成9年度導入:PowerBook 3400c/200
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)バイオ系常用ワークステーションシステムB
(b)事務系常用ワークステーションシステムB
(2) バイオ情報処理システム
(a)ゲノム情報解析システム
(i)クライアントシステムC
平成9年度導入:DEC Celebris Fx-2 5200M
(1) 個人常用ワークステーションシステム
(a)物質創成系常用ワークステーションシステム
4.2.2 ローカルサービスシステム
(情報科学研究科,バイオサイエンス研究科,物質創成科学研究科,他)
ローカルサービスシステムは,各研究室における日常的な入出力を中心としたサービスを提供する。具体的には,プリンタによるハードコピーの作成,スキャナ等による画像情報の入力機能などを提供する。また,個人によるデータのバックアップを行うための装置も備える。
平成8年度導入
(1) ローカルサービスシステム
(a)ローカルサービスシステム計算機:SGI O2
(b)スキャナ:EPSON GF9000
(c)モノクロプリンタA:Docu Station DP300
4.2.3 プレゼンテーション支援システム
(情報科学研究科,バイオサイエンス研究科,物質創成科学研究科)
プレゼンテーション支援システムでは,高解像度カラースキャナ,高品位カラープリンタ,フィルムスキャナ,CD-R作成装置,ディジタルフィルムレコーダなどを装備し,プレゼンテーションに必要な各種文書を高品位な形で作成することの可能な環境を提供する。さらに,OHP,スライドなどの作成も可能とする。
平成9年度導入
(1) プレゼンテーション支援システム
(a)プレゼンテーション支援システムA
- カラーイメージスキャナ:AGFA ARCUS II
- カラーフィルムスキャナ:CANON CanoScan 2700F
- フィルムレコーダ:LFR Mark III
- フルカラープリンタ:PICTRO GRARHY 4000
- プレゼンテーション支援計算機:DEC PRIORIS MxServer 6200
CD−R装置:PIONEER DW-S114X
4.2.4 授業支援システム
(情報科学研究科,バイオサイエンス研究科,物質創成科学研究科)
授業支援システムは,情報科学研究科,バイオサイエンス研究科,物質創成科学研究科の授業において教材や資料の提示等に利用されるシステムである。従って,個人常用ワークステーションなどで作成された教材や資料を,教室に設置されたビデオプロジェクタなどで提示する機能を提供する。
平成9年度導入
・授業支援システムA:DEC Venturis FX-2 5200
4.2.5 共用サーバシステム
・ 大容量高速ファイルサーバシステム
(全学で共通)
大容量高速ファイルサーバシステムは,全学情報環境システムにおいて各利用者のための安定したストレージを提供する。全学情報環境システムでは,各個人用のストレージを大容量高速ファイルサーバシステムでまとめて管理を行う。これにより,情報の重複の防止,一貫性の保持といったことが可能になる。さらに,各利用者に安定したサービスを提供するために,十分な高速性と障害対策が施される。
平成6年度導入:Digital 2160 A600 2cpu(88GB×4)
平成8年度導入:SGI CHALLENGE L(516GB)
平成9年度導入:DEC Alpha Server 8400(1TB)
(1) 小規模計算サーバシステム
(3研究科で共通)
全学情報環境システムでは,様々な研究・教育が行なわれ,それらの分野に応じて要求される計算能力が異なる。このため,全学情報環境システムでは計算能力に応じて小規模計算サーバ,及び大規模計算サーバを階層的に配置し,個人用常用ワークステーションだけでは対応できない処理要求について,要求を満足する処理能力を有したサーバを使い分けることができるような環境を構築する。小規模計算サーバシステムでは,将来情報科学センターに設置が計画されている超高速計算サーバ(現在のスーパーコンピュータクラスの計算能力)と,個人常用ワークステーションとの中間的な計算能力を提供する。
平成8年度導入
(1) 小規模計算サーバシステム:Origin2000(20cpu)(手前)
(2) 情報科学研究システム
(a)知能メディアシステム
主システム:Origin2000(32cpu)(奥),SGI Indy(fep)
平成9年度導入
(1) 小規模計算サーバシステム
(a)主システム:DEC Alpha Server 8400
(b)副システム:DEC Alpha Server 8400
(2) ネットワーク管理サーバシステム
(全学で共通)
ネットワーク管理情報サーバシステムは,統合情報ネットワーク管理運用上必要なサービスを提供するために用いられる基盤システムである。
平成9年度導入
(1) ネットワーク管理サーバシステム:SPARC Station 20 Model 71
(2) コミュニケーションサーバシステム
(全学で共通)
コミュニケーションサーバシステムは,学内及び学外での情報交換に用いられる電子メール,ネットニュースなどの情報サービスを提供する基盤システムである。
平成9年度導入
(1) コミュニケーションサーバシステム:Ultra Enterprise 3000server
4.2.6 特定研究用サーバシステム
(1) 情報科学研究システム
(情報科学研究科)
情報科学研究科の研究活動を支援するためのシステムであり,以下に示すようなサブシステムで構成される。各システムは基本的研究科内での共用システムである。情報科学センターと共同運用を行っている主たる使用講座名をシステム名の後に記す。
(a) マンマシンシステム(ソフトウェア計画構成学講座)
高度情報化社会における基礎技術となる,情報機器と人間の 間を結ぶ高度でかつ人間の感性を考慮に入れたヒューマンインターフェース研究のためのシステムである。情報機器使用時の人間の視線,行動,発話,生体情報の計測,及び情報データの蓄積,解析,加工を行う。
(b) 光情報処理システム(像情報処理学講座)
CCD 等で入力した画像情報を高速処理するソフトウェアの開発や,光波通信や光交換機を含む光ネットワークシステムの 性能・挙動を研究するためのシミュレーションを行う計算機システムと周辺装置で構成されている。
平成8年度導入:SONY NWS-7000
(c) 知識メディアシステム(知能情報処理学講座)
知識メディアシステムは,マルチメディアデータベース・大規模知識情報処理・ 自然言語処理に関する研究を行う際 に利用する計算機システムである。
平成8年度導入:Origin2000 (32cpu)
(先の「小規模計算サーバシステム」の項で紹介)
(d) 画像処理システム(ソフトウェア基礎講座)
画像処理,コンピュータビジョン研究用のミニスーパーコンピュータクラスの並列システムであり,画像の生成・解析・処理を高速に行うためのサーバ機能を提供するとともに,高品質なカラープリンタを有する。
平成9年度導入:SGI Onyx2 Infinite Reality (16CPU)
(e) 文書データベース開発システム(マルチメディア統合システム講座)
先端科学技術分野の文献・論文などをオンライン化し,膨大な文書情報の蓄積,高速な検索・参照を可能にするシステムである。
平成9年度導入:松下 SS-UE4000
(f) ダイナミックイメージ生成システム(像情報処理学講座)
仮想現実,複合現実研究のためのシステムであり,大量の画像情報を動的に高速で生成・配布を行う。画像をフレームレートで入力できるインターフェース3系列,マルチプロセッ
サシステム,高速グラフィック描画機能が一体化した画像処理向け計算機,処理プログラムの開発を行う分散端末計算機,高精細のカラープリンタで構成される。
平成9年度導入:SGI Onyx2 Infinite Reality
(先の「画像処理システム(ソフトウェア基礎講座)」と同型機種)
(g) 実時間信号処理システム(音情報処理学講座)
音響信号を実時間で処理するためのシステムであり,多チャンネルの音響信号のディジタル信号処理,パターン変換,特徴抽出,パターン照合,信号再合成などを実時間で行う。
平成9年度導入:DEC AlphaStation411 5/466
(2) バイオサイエンス研究システム
(バイオサイエンス研究科)
バイオサイエンス研究科の研究活動を支援するためのシステムであり,以下に示すようなサブシステムで構成される。
(a) ゲノム情報解析システム(遺伝子教育研究センター)
指数関数的にその蓄積量が増大しているゲノム塩基配列に対する種々の解析を高速に行うシステムであり,ゲノム塩基配列情報の取り込み及び蓄積,解析ソフトの実行を行う。
平成9年度導入
サーバシステム:DEC Alpha Server 4100 5/400
クライアントシステム:PowerBook 3400c/200
(PowerBook 3400c/200については「個人常用ワークステーション」の項で紹介)
(b) 高分子3Dグラフィックシステム(生体高分子構造学講座)
生体遺伝子や,核酸,蛋白質などの構造を三次元画像処理技術を使用して立体構造を高速に解析するシステムとして構成 されている。
(3) 物質創成科学研究システム
(物質創成科学研究科)
物質創成科学研究科の研究活動を支援するためのシステムであり,以下に示すようなサブシステムで構成される。
(a) 物質解析システム(複雑系解析学講座)
数値処理,数式処理,画像処理による新物質開発や,複雑系における多体現象の解析,及びシミュレーション手法による半導体や誘電体デバイスの設計などを高速かつ効率的に行うシステムである。
平成9年度導入:DEC AlphaStation500/500
(b) 分子材料支援システム(エネルギー変換科学講座)
統合化された分子モデリング環境と多彩なシミュレーションツールにより,化学・バイオサイエンスが関係した広範な領域における材料解析を可能にするシステムである。
平成9年度導入:SGI Octane SSI