Noise-removal from Electroencephalography for
Single-trial Cognitive State Analysis

真木勇人 (1561019)


EEG (electroencephalography) の信号対ノイズ比は低いため,単一試行のEEGを対象とした推論や情報抽出は通常難しいことが知られている.単一試行EEGの解析技術が確立すれば,認知や感情の状態について従来得られなかった知見の獲得が期待できる.本論文では,単一試行EEGの解析について研究を行った.   まず,事象関連電位の抽出について,以下二つのアプローチから研究を行った.(1)EEGを時間や周波数など複数のモダリティをもった多次元配列データと捉え,テンソル分解の適用について検討した.テンソル分解の最適化において,頭皮上におけるEEGの電極配置を事前知識とした正則化及び初期化の方法を提案し,これによって事象関連電位の抽出精度が向上することが確認された.(2)EEGの空間的な振幅生成を確率的生成モデルを用いて表現し,空間相関行列の最尤推定解を利用して信号分離を行う方法について検討した.観測データの振幅が高次元の確率的生成モデルによって表現されることによって最尤推定が不安定になるが,パラメタの事前分布を導入することで安定化した.提案手法の性能について,擬似データおよび実際のEEGデータを用いて評価を行なった.