ネットワークソフトウェアやプロトコルの検証はそれらの実環境への展開の前に必須の事項である.一方、ネットワークソフトウェアやプロトコルが展開される環境に比べて、検証に用いる環境は小規模な場合が多い.検証者が用意できる資源や検証施設が有する資源は限られているため検証者が必要とする規模の検証環境が用意できないことが多々ある. 従来グリッドコンピューティングやクラウドコンピューティングの分野では,垂直スケールと水平スケールの考え方により,計算能力の高度化や規模の拡張性を行っている.この考え方をネットワークソフトウェアやプロトコルの検証環境構築の分野に適用し,両概念を融合による実験環境の構築手法を提案することにより,検証者に実験環境の規模という点に関して従来の検証環境構築手法に比べて制限を緩和する手法の検討を行う. 提案手法は主に2つの技術から構成されており,(1)与えられた検証資源に対してハードウェアの仮想化技術を用いて検証のためのノードを増加させるためのメモリ配置アルゴリズムと(2)異なるソフトウェアおよび運用者により提供されている検証施設の資源を透過的に利用する技術により検証に利用可能な資源を増加させる技術で構成される. (1)に関しては,検証に用いるプロトコルおよびソフトウェアの静的解析及び動態解析を用いて検証環境構築のための必要なメモリ量の推定手法を提案し,規模追従性に関して検証を行った結果を発表する.(2)に関しては,複数の検証施設を跨いだ環境構築時に資源及び検証時に使用できる機能の2つの観点で検証者が透過的に使用できる機能の提案について発表する. 本発表では、提案手法を構成する2つの研究に関して規模拡張性と検証環境との有用性を検証し,提案手法の妥当性の検討を行う.最後に,提案手法によりネットワークソフトウェアやプロトコルの検証の今後とこれからの課題についてまとめる.