屋外環境の三次元モデル化のための点群データからの移動物体検出とデータ補間に関する研究

金谷 典武 (1161020)


屋外環境の三次元モデルは,景観シミュレーション,ナビゲーション,ウォークスルーや複合現実感などの様々な分野で利用されている. しかし,これらの分野において利用される三次元モデルは,モデリングソフトなどを利用して人手により作成されることが多く, 広域な屋外環境のモデルを作成するには膨大な労力が必要になる. そのため,近年,複数の静止画像や動画像から三次元形状を復元する研究や,レーザレンジファインダによる測定等によって, 屋外環境の三次元モデルを自動生成する研究が盛んに行われている.

現実環境の測定に基づく三次元モデルの生成において,対象となる環境は,レーザレンジファインダ,カメラ, GPS,ジャイロスコープなど,複数のセンサを使用して測定される. これらの測定データを利用して三次元モデルは構築されるが,測定時に移動物体が存在した場合, 測定データ中に移動物体上を測定した点が混在するとともに,移動物体によって隠蔽された静止物体上のデータが欠落するという問題がある. 一般に,このような移動物体の存在と,移動物体によって引き起こされる未測定領域の問題を回避することは困難である.

本研究では,この問題を解決するために,まず,フォトコンシステンシーと道路環境の事前の知識に基づいて, 点群データから移動物体を測定した三次元点を検出する手法を提案する. この手法では,点群データの各点を全方位画像上に投影し,投影点の輝度変化に基づいて,移動物体上の三次元点を検出した後, 道路環境の事前知識によって決定された特定の大きさの領域内部の点を移動物体上の三次元点として決定する. 次に,移動物体上の三次元点を除去した後の処理として,隠蔽によって欠落した点群データを補間する手法を提案する. 具体的には,距離画像を事例として利用するデータ修復によって欠落した点群データの補間を行うとともに色情報の補間を行う. 本論文では,実際の道路環境を利用した実験により一連の提案手法の有効性を検証する.