Abstracts of Doctor Thesis 2003 09

平成15年度 (9月卒業) 情報科学研究科 博士学位論文内容梗概



0061211 Sadat Fatiha

Case Studies on Cross-Language Information Retrieval and Bilingual Terminology Acquisition from Comparable Corpora

概要: The rapid exchange of information has been facilitated by the rapid expansion in the size, and the use of the Internet, which has led to a large increase in the availability of on-line texts and resources. Expanded international collaboration, the increase in the availability of electronic foreign language texts, the growing number of non-English speaking users, and the lack of common language of discourse compels us to develop Cross-Language Information Retrieval (CLIR) tools capable of bridging the language barrier. CLIR bridges this gap by enabling a person to search in one language and retrieve documents across different languages. There are several goals for the research described herein. The first is to gain a clear understanding of the problems associated with the CLIR task and to develop techniques for addressing them. Empirical work shows that ambiguity, lack of lexical resources and missing words in the bilingual dictionary during translation, are the main hurdles. The objective of this research is to provide some solutions to these problems. We concentrate on the following techniques: 1. Disambiguation techniques for short and long queries. We show how statistical techniques can be used to significantly reduce the effect of ambiguity that arises from dictionary-based translation and exacerbates the problem in CLIR. Disambiguation techniques based on statistical measures, which are estimated using large corpora in both source and target languages, are proposed for long queries. Evaluations using TREC test collection for French-English pair of languages show that ranking source terms then disambiguation of target translation alternatives is very effective in CLIR. 2. Combining multiple resources for query expansion, through relevance feedback, domain-based feedback and thesauri, in the pre- and post-translation, for an effective and efficient retrieval across languages. Domain-based feedback is based on hierarchical category schemes and pseudo-relevance feedback in order to extract domain key words and expand original queries. Evaluations on the query expansion using TREC test collection for French-English pair of languages show that a suitable weighting scheme to select best expansion terms is necessary. Also, combining thesauri and domain-based feedback showed its effectiveness in CLIR. 3. Bilingual terminology acquisition from comparable corpora, that will enrich bilingual lexicons and help cross the language barrier for CLIR. An approach combining statistics-based and linguistics-based pruning techniques for bilingual terminology acquisition and disambiguation from comparable corpora, is proposed. Combination to bilingual dictionaries and transliteration for the special phonetic alphabet of Japanese, showed its effectiveness in CLIR. Evaluations using NTCIR test collection demonstrate that the proposed hybrid translation model yields better translations and retrieval effectiveness could be achieved across Japanese-English language pair. Finally, a case study on the specialized medical domain for thesauri enrichment and CLIR is briefly introduced.


0161007 上田 悦子

バーチャルクレイモデリングインタフェースのための多視点画像に基づく手形状推定

概要: 本論文は,多視点画像に基づく手形状推定の新しい手法を提案するものである.提案手法は, 仮想空間中の塑性体を実空間の人間の手動作を介して直感的 に変形するバーチャルクレイモ デリングインタフェースの入力として使用されることを目的としている.人間の意識的な手動作は 「対話的な手動作」と「操 作的な手動作」に分けられることが出来る.本論文で提案する手法は, 後者の 操作的な手動作の際の手形状を推定することを目的としており,そのために手 指の各関 節の回転・屈曲角度を定量的に推定するものである. はじめに,本研究のキーアイディアとなる多視点画像に基づく手形状推定手法の提案を行う. 提案手法では,観測空間中の手の多視点画像を統合することによって3次元の観測データとして 再構成し,あらかじめシステムがもつ手の 表面形状データとの3次元フィッティングにより関節角度 の推定を行う.シミュレーションにより提案手法の評価を行い,その上で多視点動画像を入力と した連続的な手形状の推定実験を行う.次に,インタラクションの対象となる塑 性体の一つである 粘土のモデル化を行う.モデル化されたバーチャルクレイはサブディビジョンサーフェスを用いて 表現され,またFree Form Deformationを用いて変形される.続いて,推定した手形状を用いて バーチャルクレイを変形するシステムのプロトタイプを構築し,バーチャルクレイモデ リングインタ フェースの入力として,提案手法を用いることの有効性の検証を 行う.最後に,手形状推定の精度 を向上させるために,手の表面形状をサブディビジョンサーフェスを用いて表現することを提案し, 精度の向上に関する検 証を行う. シミュレーションおよび実画像を入力とした実験とそれらの検証結果から,提案した多視点画像に 基づく手形状推定手法の有効性・正当性を示すことが出来た.

0161026 竹村 裕

神経振動子に基づく四脚歩行ロボットの環境適応歩容に関する研究

概要: 本研究の目的は,路面環境の変化に柔軟に対応する歩容生成手法の構築であ る.歩行ロボットが様々な環境を移 動するためには,環境やロボットの状態に応じた脚の運び方``歩容"を決定す る必要がある.歩行を非線形の運動 と捉え,ロボットと環境との厳密なモデルを利用し歩行を実現すると,想定さ れた以外の環境には対応できない問 題がある.この問題を解決するためにロボットはセンサ等から環境情報を獲得 し,自ら歩容を環境に適応させる必 要がある.本論文では,動的で非常に柔軟な歩行を行う動物の神経系に注目 し,リズム発生機構(Central Pattern Generator:CPG)と反射機構を組み合わせたCPGベース型制御により, 自律的に路面変化に対応する歩容生 成手法について考える. 多くの生物の運動はその体内に張り巡らされた神経系により制御されている ことは広く知られた事実であり,数 多くの研究が行われてきた.それらの研究が進むにつれ,生体内部には神経振 動子と呼ばれるリズム発生機構があ りこれが生物の周期的な活動に深くかかわっていることが指摘されるようにな った.%動物の歩行運動は,脊髄に あるリズム形成機構で作られた歩行リズムにより筋骨格系が駆動される.そし て,脳幹・脊髄への感覚フィード バックに対する基本反射系の応答により筋活動の切り替えや,歩行パターンの 変化が行われ,実環境下でも規則的 な歩行リズムを基にした歩行運動が実現されている.このような生物学,神経 心理学等で得られた知見に基づい て,ロボットの歩容を生成・制御することを試みる. 歩行運動が矢状面内の運動と前頭面内の運動との協調運動であることから, 安定した歩行運動の実現には矢状面 内の運動と協調を保つように前頭面内の運動を制御することが必要である. 神経振動子経由の左右揺動運動・姿勢反射を用いて,矢状面内の運動との協調 を保つように前頭面内の運動を生成 する三次元的な歩行生成手法を提案する.この手法により,ロボットと環境と の厳密なモデルを用いることなく整 地・斜面での動的適応歩行の実現が可能となった. CPGを利用して歩容を生成する場合にCPGパラメータ決定問題がある.高速シ ミュレーション環境を利用し,歩行 パターンとエネルギー効率の関係を検証することにより,高エネルギー効率な 歩行を実現するCPGパラメータを決 定する手法を提案する.ロボットの幾何学的条件により最適な歩容パターンの 存在が明らかとなり,速度に対する 最適なCPGパラメータを決定することが可能となった. 脚による移動機構は脚が接地面に安定に接触している状態を前提に考える事 が多いため,接地面において滑りが 発生した場合には様々な問題が惹起する.路面摩擦が歩容およびエネルギー効 率にどのような影響を与えるかを検 証する.これにより得られた知見に基づき二つの滑り適応歩容を提案する.一 つは,CPG経由の滑り反射を利用し た歩行パターンそのものを変更する滑り適応歩容,もう一つは,力制御を用い た滑りに瞬時に対応する滑り適応歩 容である.これらの手法により,路面摩擦の変化,滑りに適応する歩容を生成 することが可能となった. CPGの潜在的な適応能力は示唆されていたが,リズム発生機構と反射機構を用 いた歩容生成・制御系を構築するこ とでCPGを用いて環境適応歩容を実現する一手法を確立することができた. この結果は,歩行ロボットが未知環境での歩容を実現する上で有効な指針となる.

情報科学研究科 専攻長