ゼミナール講演

日時平成11年 6月 16日(水)4限(15:10 -- 16:40)
場所L1

講演者門田 暁人
所属 ソフトウェア計画構成学講座 助手
講演題目 ソフトウェアの知的財産権の保護技術
概要
本講演では,ソフトウェア開発者の知的財産権を侵害する行為 (海賊行為)の抑止を目的とする,ソフトウェアの安全な実装法について発表する. 特に,他人の開発したソフトウェアを解析してアイデアや方式を盗用する行為 (アイデアの盗用)の防止を目的とした,プログラムの難読化法を中心に紹介する.

プログラムの難読化法は, 人間がプログラムを理解したり解析することが困難となるように, 与えられたプログラムを著しく読みにくいプログラムへと変換する技術である. プログラムを難読化してからユーザに配布することで, ユーザや第三者によるプログラムの解析を困難にすることができ, アイデアの盗用の防止に役立つ.

本講演では,プログラムの解析や難読化といった, 従来あいまいな概念でしかなかったものを明確に定義した上で, 難読化の手法をいくつか提案する.また,その有効性を評価した実験結果を示す.


講演者 松本 吉央
所属 ロボティクス講座 助手
講演題目 Real-time Face Tracking and Gaze Detection System
概要
近年 PUI(Perceptual User Interface) の研究が盛んになっている.これは, 視線やジェスチャ等, 人間にとって自然な動作をコンピュータに理解させる技術を開発し「次世代のインターフェース」として利用することを目指している. 人間の視線や顔の動きは,人間の意図や注意と関係が深いため, その動きを検出する技術は単なるコンピュータと人間のインターフェース以外にも応用範囲は広い. 例えば,心理学や人間工学の分野で人間の行動計測に用いることも可能であるし, ロボットと人間のインタラクション,アミューズメント機器,福祉機器, 安全装置といった用途も考えられる.

本発表では,従来の視線や顔の動き検出に関する研究の流れについて述べ, ステレオ画像処理技術を利用して開発した視線検出システムについて紹介する. 本システムでは,通常のカメラと画像処理ボードのみを利用しており, (1)非装着で,(2)受動的に,(3)リアルタイムかつロバストに, (4)高い精度で顔の位置・姿勢および視線の方向を3次元的に検出できる, という特徴がある.


講演者 服部 哲
所属 計算機言語学講座 助手
講演題目 項書換え系の諸性質のモジュラ性
概要
等式に基づく計算モデルの一つとして, 項書換え系が提案されている. 項書換え系の重要な性質として, 合流性や停止性が挙げられる. しかし, 与えられた任意の項書換え系が合流性を満たすかどうか, あるいは, 停止性を満たすかどうかはいずれも決定不能であることが知られている. このことから, 項書換え系がこれらの性質を満たすための十分条件を与える研究が進んでいる. しかし, 項書換え系の規模が大きくなれば(書換え規則の数が増えれば), 項書換え系が合流性や停止性を満たしている場合でも, そのことを十分条件によって知るのは難しくなる. そこで, これらの性質がモジュラ性を有するか, すなわち, 項書換え系を分割 (モジュール化)して全体の性質を検証することができるかどうかに関する研究が行われている.
本講演では, この項書換え系の諸性質のモジュラ性という研究分野について解説した後, 講演者は, この分野のうちのどのようなことに関して研究を進めているかについて述べる.

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平成11年度ゼミナール担当:楫 勇一, 武田 英明, 関 浩之