ゼミナール発表

日時: 09月28日(Wed)2限


会場: L1

司会: 浅原 正幸
宮本 敦史 D 数理情報学 池田 和司 松本 裕治 渡辺 一帆
発表題目:アクティブ計測とパッシブ計測を用いたネットワークトモグラフィ
発表概要: 通信ネットワークのパスごとのパケットロス率を用いて、リンクごとのパケットロス率を推定する逆問題は、ネットワークトモグラフィと呼ばれる。パケットロス率を計測する手法としてプローブパケットを用いたアクティブ計測と、流れているパケットからパケットロス率を推定するパッシブ計測がある。一般的にネットワークトモグラフィでは、パスごとのパケットロス率を知る必要があるため、コストの高いアクティブ計測が用いられており、パケットの通過パスを指定できないパッシブ計測は用いられてこなかった。 本研究では、パッシブ計測で用いたパケットの通過パスを推定することで、パッシブ計測とアクティブ計測を用いたネットワークトモグラフィを提案する。数値実験により、少ないアクティブ計測の回数で同程度の推定精度を実現できることを示す。
 
堀川 友慈 D 数理情報学 池田 和司 松本 裕治 川人 光男
発表題目:Generic obejct decoding with hierarchical visual features
発表概要:脳情報デコーディングは,脳活動から外界の刺激/脳情報を読み出す技術である.デコーディングは,脳が情報をどの様に表現しているかという神経科学的な理解の促進に役立つだけでなく,脳内から読み出した情報を機械の操作や情報通信に利用することで,脳活動を利用したさまざまなアプリケーションを提供することができる.本発表では,ヒトが任意の物体像を想像しているときの脳活動から情報を読み出し,web検索に利用する"brain activity-based web search"システムの実現に向け,まずは,ヒトが見ている任意の物体(object)のカテゴリ情報を脳活動のみから同定するシステムを構築することを目的とする.従来のデコーディング手法における問題点と.その解決策を提案し 提案法によって,有限小数しか得られない物体画像観察中の脳計測データから,任意数の物体のカテゴリ情報を同定可能であることを示す.
 
林 克彦 D 自然言語処理学 松本 裕治 中村 哲 新保 仁 小町 守
発表題目:Stack-based Top-down Dependency Parsing
発表概要:自然言語構文解析は機械翻訳などの応用アプリケーションへの重要な基礎技術である. 近年では特に依存構造解析(Dependency Parsing)が盛んに研究されており,その有用性が様々な形で 実証されている.依存構造解析では明示的な文法規則を用いることはなく,文内における単語の依存 関係によって文の構造が表される.これまでに提案されている依存構造解析手法は句構造文法の解析 でもよく知られるCKYチャート解析法やShift-reduce解析法などを応用したBottom-upの解析法が主と なっている.本発表ではTop-downに文の解析を進める依存構造解析法を提案し,その可能性について 検討する.
 

会場: L2

司会: 河合 紀彦
喜瀬川 拓也 M インタラクティブメディア設計学 加藤 博一 横矢 直和 池田 聖 山本 豪志朗
発表題目:タブレット型情報端末による 拡張現実感のための背景映像の 幾何学的補正法
発表概要:タブレット型情報端末は,小型化が進んだことに加え,タッチパネルディスプレイを介して直感的なインタラクションが可能なことから拡張現実感を実現する情報端末として急速に普及しつつある.タブレット型情報端末を用いた拡張現実感に特有の技術的な課題のひとつはユーザの視点からは画面内の実写映像と画面外の実風景に幾何学的な整合性がないため,画面内の実写映像と重畳表示される付加情報が正しく位置合わせされていても,画面外の実風景と付加情報との関係が把握しづらいことである.本研究では,環境の映像を取得するカメラとユーザ側のカメラが固定されているタブレット型情報端末を用いた拡張現実感において,平面近似した環境の形状から映像を補正することにより画面外の実風景と画面内の映像の位置ずれを低減させる手法を提案する.提案手法では,まず環境側のカメラ映像からSLAM法により環境の概形状を取得し,ユーザ側のカメラ映像からユーザの視点位置を取得する.次に,概形状に単一平面を当てはめ,位置ずれの小さい映像を生成し表示する.環境の形状を自由度の小さい平面で近似することにより,映像生成時に大きな歪みが生じることを回避しつつ,位置ずれの低減を図る.実験では,理論上位置ずれが全く生じない映像が生成可能な平面を対象とし,生成された映像の精度を検証する。
 
小野 祥 M インタラクティブメディア設計学 加藤 博一 横矢 直和 宮崎 純 山本 豪志朗
発表題目:石原式色覚検査表を用いた光投影による視覚特性への補助に対する評価実験
発表概要:現在世の中には遠視や近視、白内障や二色性色覚などの視覚特性が存在しており、このような視覚特性に対する補助は様々な手法が存在している。補助手法の中にはプロジェクタカメラによる光投影によって行うものがあり、本研究ではこの手法を用いた様々な視覚特性への補助を目指している。しかし、この光投影による視認性向上の評価実験はまだなされていない。本研究では、この評価実験の提案から始まり、その実験の結果から光投影による最適な補助の手法を生み出すことを目的としている。
 
熊谷 謙造 M インタラクティブメディア設計学 加藤 博一 横矢 直和 宮崎 純 池田 聖
発表題目:モデルベーストラッキングにおける推定可能自由度の変化に対するロバスト性の向上
発表概要:モデルベーストラッキングとは画像中の情報を用いて物体の三次元位置および姿勢を追跡する手法である. 事前に作成された追跡対象の3Dモデルを画像上で観測された特徴と対応付け,その投影誤差を最小化することで対象物体の3次元位置姿勢(6自由度)の推定を行う. この手法にはモデルの形状やカメラに映る物体の見え方によって,推定可能な自由度が変化するという特徴がある. 従来手法では、推定可能な自由度を考慮していないためにトラッキングが破綻するケースがあった. そこで本研究では推定可能な自由度を考慮した処理によって破綻を回避し モデルベーストラッキングの継続性,安定性を向上させる手法を提案する.
 
藤本 雄一郎 M インタラクティブメディア設計学 加藤 博一 横矢 直和 宮崎 純 山本 豪志朗
発表題目:拡張現実感による情報提示位置の変化がユーザの記憶効率に与える影響
発表概要:我々は拡張現実感による情報提示がユーザの記憶に与える効果について調べている. 拡張現実感は実世界の特定の位置に仮想物体を重畳表示させる技術であり, ユーザに提示される情報は本質的に「実世界上の位置」という情報を含んだものとなる. 一方人間の記憶メカニズムには位置に関連付けられた情報を記憶しやすく,また想起 が容易となるという特性がある.よって我々は,「AR技術による実世界でのアノテー ション表示において,アノテーションをその対象物体の位置に関連付けて表示すること は無関係な位置に表示したい場合と比較し,提示された情報の記憶に関してポジティブ な影響を及ぼす可能性がある」という仮説を立てた.本研究ではその一環として, 拡張現実感による情報提示システムにより,文字や図形を位置に 関連付けて学習するというシチュエーションでのユーザスタディを行い,仮説の検証を行った.
 

会場: L3

司会: 玉井 森彦
田口 雅裕 M ソフトウェア工学 松本 健一 飯田 元 門田 暁人
発表題目:ライブラリ知識やレビュー経験が理解時間に与える影響の分析
発表概要:本研究は,ソースコードレビューの効率的な実施法の提案を目的とする.保守開発におけるソフトウェアのバージョン更新を想定した被験者実験を行い,更新前のソースコード(バージョン1)および差分ソースコード(バージョン1に対して機能追加などの変更を加えたソースコード:バージョン2)の読解時間を計測した.被験者を経験や知識によってグループ分けし,バー ジョン1およびバージョン2ソースコードの理解時間を比較することで知識や経験がソースコード理解にど のような影響をあたえるのかを評価した.レビューの経験が多い被験者は大まかな理解をしていることがわかった。また、小規模な変更の場合には読解に必要なライブラリ知識があれば読解時間が短いが、大規模な変更の場合には読解に必要なライブラリ知識に加えてレビューの経験も必要であることを示す結果が得られた。
 
劒持 真弘 M ソフトウェア基礎学 伊藤 実 安本 慶一 藤川 和利 孫 為華
発表題目:駐車までの所要時間を最小化する駐車場ナビゲーションの提案
発表概要:混雑時の大型駐車場では駐車スペースを見つけるまで長い時間を要する.本研究では駐車場のゾーン間の移動にかかる時間の統計情報と,車両入出庫検知に基づいて各駐車ゾーンにおける駐車待ち時間を予測することで,車両が駐車場に入ってから駐車を完了するまでの時間が最小となる駐車経路を提示する手法を提案する.提案手法では駐車場に設置された中央サーバから,各駐車ゾーンへ移動にかかる推定時間,及びそのゾーンで駐車できる推定確率の情報が各車両へ送信され,車両がその情報を基に,駐車場内の全経路に対して駐車できるスペースを見つけるまでの時間期待値を計算することで,駐車待ち時間が最小となる経路をドライバーに提示する.