ゼミナール発表

日時: 09月26日(Mon)3限


会場: L1

司会: インタラクティブメディア設計学助教
粂 秀行 D 視覚情報メディア 横矢 直和 加藤 博一 佐藤 智和
発表題目:拡張バンドル調整を用いた外部指標の併用による動画像からのカメラ位置・姿勢推定
発表概要:動画像からのカメラ位置・姿勢推定は,三次元形状復元や自由視点画像生成をはじめとする多くの分野での利用が可能である.本研究では,動画像からのカメラ位置・姿勢推定において,GPSや環境を上空から撮影した航空写真などの外部指標を併用することにより,広域な環境において誤差の蓄積を抑えたカメラ位置・姿勢を推定する手法を提案する.また,外部指標の併用には,統一的な枠組みとして,動画像からのカメラ位置・姿勢推定で用いられるバンドル調整において,外部指標を考慮してエネルギー関数を最小化する拡張バンドル調整を用いる.本発表では,現在取り組んでいる動画像とGPSの併用手法について述べる.従来,拡張バンドル調整を用いた動画像とGPSの併用手法が提案されているが,GPS測位の信頼度を考慮しておらず,特にGPS測位の信頼度が低い場合にカメラ位置・姿勢の推定精度が大きく低下するという問題があった.また,蓄積誤差が大きく,初期値が良くない場合には,局所解に陥ることで適切な解が得られないという問題があった.本研究ではこのような問題に対して,エネルギー関数にGPS 測位の信頼度に応じた重みを設定することで,GPS測位の信頼度を考慮した最適化を行う.また,エネルギー関数を最小化する前に,推定されているカメラ位置をGPS測位位置を用いて補正することで,局所解を回避する.
 
青砥 隆仁 M 視覚情報メディア 横矢 直和 加藤 博一 佐藤 智和
発表題目:中空透明球体を用いた近接光源位置の推定
発表概要:近接光源位置の推定は照度差ステレオによる物体形状計測の解決において重要な課題である. 従来,この問題は複数の参照物体から観測される反射光や単一の参照物体によって生じる影を用いる事で解決されてきた. しかし,前者は参照物体間の位置関係を事前にキャリブレーションする必要があり,後者には推定すべきパラメータが多く,光源位置を安定に推定することが難しいといった問題がある.本研究では単一の中空透明球体を用いることで,球面の外部と内部で生じる二種類の鏡面反射光を利用し,これらの反射光の位置関係より光源位置を推定する.
 
岡田 圭太 M 視覚情報メディア 横矢 直和 加藤 博一 佐藤 智和 波部 斉
発表題目:環境の時間的変化に頑健なカメラ位置・姿勢推定のためのオンラインでのランドマークデータベース構築
発表概要:カメラの位置・姿勢を推定する手法として,実環境の三次元構造からランドマークデータベース(LDB)を構築し,画像と対応付けることで推定を行う手法がある.しかし,従来の手法は静的な環境を対象としているため,オフラインで構築したLDBの更新については考慮していない.よって,環境の時間的変化に脆弱であった.そこで,本研究ではオンラインでのLDB構築による,環境の変化に頑健な拡張現実感のためのカメラ位置・姿勢推定手法を提案する.具体的には,サーバ・クライアント型のシステムを想定し,サーバでは,全方位カメラから得られる動画像から環境の三次元構造を逐次推定することでLDBを構築し,クライアントに伝送する.これにより,環境の変化を反映した頑健なカメラ位置・姿勢の推定を実現する. 本発表では,全天球画像2枚から構築したLDBに基づくカメラ位置・姿勢精度の評価実験結果についてと,今後の予定について述べる.
 
中村 彰宏 M 数理情報学 池田 和司 横矢 直和 柴田 智広
発表題目:脊髄損傷マウスに対するマーカーレスモーションキャプチャシステムの開発
発表概要:長らく有効な治療法が無いとされていた脊髄損傷に対して、近年はマウスやラットを実験動物とした再生医療が注目され、人間への応用が期待されている。しかし、それらの研究における治療効果の評価は目視によるものが主流であり、客観的・定量的なデータ収集が課題とされる。そこで、本研究では脊髄損傷マウスに対するモーションキャプチャシステムを開発する事で回復評価を自動化し、客観性・定量性の問題解決を図る。今回の発表では、人間以外へのモーションキャプチャ実現に置ける課題と、それらを満たすシステム構成及びキャプチャ手法について説明した上で、開発の進捗状況について報告する。
 

会場: L2

司会: 山口 明彦
東 真也 M 生命機能計測学 湊 小太郎 小笠原 司 杉浦 忠男
発表題目:Z偏光ビームを用いたナノ粒子のレーザートラップ
発表概要:光ピンセットは、顕微鏡下の対象物にレーザー光を照射した際に生じる放射圧で対象物を捕まえて操作できる技術である。近年、バイオサイエンス分野では、細胞からDNAや染色体を取り出すなどの用途で微細な対象物を自由に扱いたいというニーズが高まっており、光ピンセットのような微小物体を操作する技術が求められている。しかし、従来の光ピンセットでは、レーザー光を吸収することで発生する熱でブラウン運動が活発化するため、ブラウン運動の影響を強く受ける微小な粒子を捕捉するのは困難になり、ある限界より小さな粒子は捕捉できなかった。そこで本研究では、この限界を超えてさらに微小な物体を捕捉する光ピンセット法を開発することを目的とする。微小な物体を捕捉するには、レーザー強度を大きくすることなく、捕捉力を大きくする必要がある。本研究では光ピンセットにおける光軸方向と水平方向の捕捉力の違いに着目し、光源の偏光状態を制御して光軸方向の捕捉力を強化した光ピンセット装置の開発を行っている。本発表ではナノ粒子トラップの性能評価実験について報告する。
 
松田 智晴 M 生命機能計測学 湊 小太郎 小笠原 司 杉浦 忠男 佐藤 哲大
発表題目:鉤状束の拡散テンソルTractographyと認知機能検査及び記憶機能検査との相関
発表概要:てんかんの外科手術である側頭葉手術は,現在最も効果が期待できる手技である.しかし,この手術で切除する海馬は記憶機能に関わる部分であり,術後の認知機能や記憶機能に影響が出ることがある.患者の術後の認知機能や記憶機能の変化を知るためには,患者群の変化を見るだけでなく,各年齢層における患者群と健常者群の比較が重要である.本稿では,健常者を対象とし,鉤状束領域のTractographyのFA値と,認知機能検査の一つであるMMSEや記憶機能検査の一つであるWMS-Rのスコアの相関係数を検証した.WMS-Rのスコアは言語性記憶,視覚性記憶,注意・集中力,遅延再生の項目に分かれているので,それぞれFA値との相関係数を求めた.
 
鈴木 隆裕 M ロボティクス 小笠原 司 湊 小太郎 高松 淳 池田 篤俊
発表題目:把持型の触感覚提示デバイスに向けた柔らかさ提示のための振動生成手法
発表概要:触覚を使った情報提示デバイス(ハプティックデバイス)は,バーチャルリアリティやテレマニピュレーションへの応用が期待される.本研究では物体把持において重要とされる触感覚(重さ,滑りやすさ,柔らかさ等)を同時に提示できるデバイスの開発に向けて,把持型デバイスを用いた振動による柔らかさ提示手法を提案する.まず振動が把持に及ぼす影響を調べるための基礎実験を行い,基礎実験結果をもとに提示に用いる振動範囲を決定した.そして,振動を変化させた時の柔らかさ知覚実験を行い,柔らかさ提示のための振動生成方法を提案した.本発表では,振動を用いた柔らかさ提示手法とその評価実験の結果について述べる.
 
武藤 誠 M ロボティクス 小笠原 司 湊 小太郎 高松 淳 池田 篤俊
発表題目:滑り解析による把握動作評価
発表概要:近年,ロボットハンドの制御や人間の動作解析を目的として,ヒトの把握動作(手でしっかりとつかむ動作)を定量的に評価する試みがなされている. これまで把握動作の解析・評価には,接触面の圧力分布や上腕にある筋電を計測する方法が一般的であった. 本研究では把握動作における滑りに着目し,カメラを用いて接触面を撮影し滑りを定量的に計測することで把握動作の解析・評価を行う. 具体的には滑りの解析手法として,偏心度とオプティカルフローを用いる. 本発表では滑りを計測するためのデバイスを紹介し,偏心度を用いた解析結果とオプティカルフローを用いた解析結果をそれぞれ示し,比較評価を行う.
 

会場: L3

司会: コンピューティング・アーキテクチャ助教
村田 絵理 M コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦 井上 美智子 嶋田 創 大竹 哲史
発表題目:組込み自己テストのための温度均一化制御機構
発表概要:近年のLSIの微細化や高速化に伴い,遅延故障や経年劣化が製品の信頼性にかかわる重大な問題となっている.これらの故障や劣化を検出するには高精度な遅延テストを行う必要があるが,回路遅延は回路温度に依存するため,高精度な遅延テストを行うには,回路内部の温度ばらつきがない状態でテストしなければならない.これまでに,外部テストに対しては,テスト実行時の回路温度を均一化する手法が提案されている.しかし,製造テストで高価なテスタを必要とせず,出荷後のテストも可能な組込み自己テストには適用できない.本研究では,組込み自己テストにおいてより高品質な遅延テストを行うための,回路内部の温度を均一にする回路機構と制御方法を提案する.本発表では,現在の進捗状況及び今後の予定について述べる.
 
Devisetti Venkatarama Naveen M コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦 井上 美智子 嶋田 創 中田 尚 姚 駿
発表題目: Exploring different ways of placing FPUs on LAPP
発表概要: In our previous research work, we proposed an array architecture called LAPP, which has high power efficiency. This proposed architecture supports only the general integer operations. But, in recent years, there is a vast increase in demand for applications with high precision and 3D graphic applications. These applications include floating point operations, which need to be executed at high speed to improve the performance. Therefore, in this paper we are proposing an architecture that supports floating operations. As part of implementing an array architecture that supports both the integer operations as well as floating operations, in this paper we explore the best possible way of placing FPUs on the LAPP. Here we considered FPUs with 3 different latencies (2 clock cycles, 3 clock cycles, 4 clock cycles).We explored all the possible cases for placing FPUs, and found the best possible way of placing FPUs under each Latency. We analyzed the hardware overhead, and utility rate of Functional Units in each case. Our results showed that, the case in which one FPU is placed in every array stage requires less hardware while using the existing functional units effectively.
 
西原 有哉 M ディペンダブルシステム学 井上 美智子 中島 康彦 米田 友和
発表題目:タイミングを考慮した高品質遅延テストの為のテスト生成
発表概要:近年の半導体製造プロセスの微細化に伴い, 微小遅延が発生しやすくなっている. 半導体の信頼性を確かなものにするためには微小遅延を高精度で検出することができる遅延テストが必要である. これまでの研究で, 高品質な遅延テストを実現するテストパターンの生成法が提案されているが, テストパターン数が増大するという欠点があった. 本研究は, テストパターン数の増加を抑えつつ高品質な遅延テストを行うことができるテストパターンの生成法の確立を目的とし, Faster-than-at-speed testを用いて経路長に近いタイミングでテストすること, 及び1つのテストパターンに対してテストタイミング情報, マスク情報の異なる複数のパターンを複製することを基本方針としている. 本発表では, 目的実現のためのアイデアを述べる.
 
森永 洋介 M ディペンダブルシステム学 井上 美智子 中島 康彦 米田 友和
発表題目:LSIの経年劣化を考慮した動的テストスケジューリング
発表概要:NBTIなどによるトランジスタの劣化が問題となっている. 劣化による障害の発生は使用環境で顕在化するため, システムが当然ダウンする. 半導体の信頼性を高めるために使用環境においてテストを実施することにより、回路が障害に達する前警告を促し, 突然のシステムダウンを回避する必要がある. 使用環境におけるテストでは時間に制限があり、テストパターンを分割する分割テストを実施する. 本研究では, 分割テストの際に必要となるテストパターンのスケジューリング手法について提案する. 本発表では, 現在の進捗状況及び今後の予定について述べる.