ゼミナール発表

日時: 12月13日(火)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会: 小木曽 公尚
村瀬 英俊 生命機能計測学
発表題目:ゼブラフィッシュ 心筋細胞の再生過程の画像化
ゼブラフィッシュの損傷させた心筋細胞が再生する過程を観察したいという要望がバイオサイエンスの分野にある. 心筋細胞の再生過程を観察することで,細胞の再生のメカニズムの解明につながる可能性がある. そこで,ゼブラフィッシュの心筋細胞が再生する過程を3次元画像化することが本研究の目的である. 画像化する際の問題点である撮像している間の心臓の動きの影響について述べ,関連研究および今後の予定を示す.
 
安並 健太郎 知能システム制御
発表題目:経路積分に基づく強化学習法によるロボットアームの制御
発表概要:近年,様々な分野でロボットの運用への期待が高まるのに伴い,未知環境やロボット自身のダイナミクスが不明な場合でも対応できる自動制御が求められるようになってきた. その一つの方法として,価値関数をもとに制御則を試行錯誤的に学習する強化学習法が注目されている. 本発表では,現在最も効率的な強化学習アルゴリズムとされる,経路積分に基づく強化学習法に関する文献[Theodorou et al., JMLR 2010]を紹介する. また,そのアルゴリズムの7軸ロボットアームシミュレータへの適用結果を示すとともに,アルゴリズムの問題点と今後の展望について発表する.
 
松葉 有香 数理情報学

発表題目:実写を用いた衣服の素材情報の推定

発表概要:近年のCGにおける衣服の表現は服飾デザイン分野に留まらず、アニメーションやゲームにおいて動きや質感など現実感を求める上で重要視されている。その肝となるのが素材の物理的特性である。一般に布の動きや質感は素材や編み方によって異なり、その物理的特性は曲げや剪断などの様々な変形に対応する固有のパラメータで表すことができることが分かっている。これらの情報を素材情報とする。衣服モデルを3次元CGソフトウェア上で作成するためには、この素材情報と衣服の幾何学的構造を表す型紙情報が入力として必要となる。しかし、これらの情報は必ずしも所持しているとは限らず、特に素材情報が欠如している場合、実物に合わせたパラメータチューニングには熟練者でも調節に時間がかかってしまう。本研究ではこれを踏まえて、3次元CGソフトウェアにおける衣服モデル作成の支援として、衣服の素材情報を実写画像から推定することを目的とする。

 
本谷 玲 数理情報学
発表題目:[論文紹介] Learning All Optimal Policies with Multiple Criteria
発表概要:強化学習とは,試行錯誤を通じて最適政策を獲得する学習手法のことである. Q学習に代表される既存の強化学習手法は,1つの最適政策を獲得することを目的としていた. これらの手法では,最適化するべき目的関数は1つ,つまり報酬関数は単目的であることが仮定されており, 目的関数が複数ある環境には対応していなかった. 複数の評価軸があるような問題においては,ある評価軸の評価が良くとも, 他の評価軸の評価は悪いというようなトレードオフの状況が存在しうる. そのため,ただ1つの最適解が存在するのではなく,複数の解の候補が存在する. 従って1つの解を獲得するだけでは,あらゆる状況に対して最適であるとは言えない. この問題を解決するため, Barrettらは報酬関数が多目的であるような環境において, 最適解となりうる複数の解の候補を収集する手法を提案している. 本発表では (1)何故,多目的問題が重要なのか と (2)Barrettらの手法の概要 の2点について発表を行う.
 

会場: L2

司会: 寺田 直美
Passakorn Phannachitta ソフトウェア工学
発表題目: Expertise Finding in Open Source Software Project Repository
発表概要: The need of automated finding experts has been arisen. It make us possible to consult with the right person whenever an issue is addressed. Especially when an organize is form in a global distributed where everyone knows each other sparsely. Conventional Open Source Software (OSS) project is categorized into this type. We believe that developing the existed studies on finding expertise in enterprises and adapting them into OSS purpose will be very promising and possibly deliver a potential outcome.
 
永原 裕之 計算メカニズム学
発表題目:スライスサイズを大幅に削減したIndex-Less 型フラッシュ符号
発表概要:フラッシュメモリは素子内の電荷量から情報を表現するため,操作には電荷を『溜める』,『解放する』2種類がある. 後者の操作は素子に大きな負荷を与えるため,前者の操作回数をできるだけ増やし,後者の操作を回避することが,フラッシュメモリの長寿命化には重要である. これに貢献する手法として,Index-Less Indexed Flash Code (ILIFC) があるが, ILIFCはデータのビット長が長いほどパフォーマンスが低下する. 本発表ではこの問題点を改善した手法を提案する. 提案手法ではILIFCと比較し,長いビット長のデータに対応できることだけでなく,同一のパラメータにおいて,より多くの『溜める』操作を実現できることを模擬実験で示している. よって提案手法は,従来より長寿命化に貢献することが見込まれる.
 
福井 達也 情報基盤システム学
発表題目:地理情報を用い負荷分散機能及びスケーラビリティを備えたPublish/Subscribeシステムの提案
発表概要:センサネットワークの発展に伴い,センサデータを気象情報や災害情報等の情報配信サービスに活用することが期待されている. 例えば集中豪雨や河川の増水を監視するシステムように即時性が求められる環境では, イベント地域のデータを素早く処理し,連続的に配送し続けることが求められる. 即時性を保ちつつ負荷を分散してデータの配送を行うには,Push型データ配信や分散処理が可能なPub/Subシステムを用いることが望ましい. しかし,従来のPub/Subシステムはデータ配送過程における加工処理はできず,また配送パスの構築コストが高いためスケーラビリティにも問題がある. そこで本研究では地理情報を用いて,配送過程上でデータ処理を可能とするデータコンポーネント及び登録情報の管理等を専門的に行う管理機構を導入することで,スケーラビリティの向上を目的としたセンサネットワークのためのPub/Subシステムを構築する. 本発表ではシステムの概要紹介とあわせて,処理ノードの増加に備えたスケーラビリティの高いノード管理手法についての提案を行う.
 
中村 勇貴 ユビキタスコンピューティングシステム
発表題目:ユーザの行動履歴に基づく拡張現実感を用いた日常生活支援システムの提案
発表概要:拡張現実感の技術を利用する事により実世界を拡張した視覚情報の提示が行える。代表的な例としてナビゲーションシステムへの応用があるが、現在はカードゲーム等のエンターテイメント側の研究が先行している。そこで本研究では拡張現実感を用いた身近な応用として、部屋のどこから着手するのか行動選択が必要である掃除や片付け、捜し物等の日常生活を対象とした生活支援システムを提案する。提案手法では従来の生活支援システムと比較して低コストかつアンビエントな(さりげない)視覚情報の提供が可能となる。提案手法では空間履歴をタッチパネル付き情報端末による操作で保存し、履歴に基づいて暗幕や霧の視覚効果を利用しユーザに伝える。生じる課題として位置合わせ、履歴と視覚効果の関連付けがある。解決策として、前者は2つの画像マーカを捉えること、後者は履歴と頻度から適切な効果を選定することを提案している。以上から例えば掃除では最後に掃除した日付や掃除習慣に基づき、掃除の必要性が高い場所は暗幕で汚く表示し、逆に掃除の必要性が低い場所はライトで明るく見せるといった効果が実現可能となる。本研究ではこのような履歴に基づいた自然な視覚情報を用いた生活支援を行う事を目的とする。本発表では研究背景、関連研究、提案手法について述べる。
 
尾花 悦正 インターネット工学
発表題目:[論文紹介]A Peer-to-Peer Collaborative Intrusion Detection System
発表概要:インターネット上の安全には現在でも数多くの脅威がある。侵入検知システムIDS(Intrusion Detection System)は、そういった脅威に対応するための仕組みだが、誤検知が多いといった問題がある。攻撃や攻撃のための調査と疑われるパケットの送信元の情報を複数のIDS間で共有して、検知の正確性を上げようというのがCIDS(Collaborative IDS)のアプローチである。CIDSにP2Pの技術を応用し、ブラックリストを集中管理するクライアントサーバ型CIDSの持っている単一障害点やボトルネックを解消する研究を紹介する。
 

会場: L3

司会: 吉田 則裕
三谷 亮介 自然言語処理学
発表題目:単語分割に着目したWebテキストにおける語義曖昧性解消
発表概要: Webテキストの特性上、従来の形態素解析器における単語分割では、辞書に登録されていない語に対して正確な解析ができない場合がある。本研究では、教師あり形態素解析器、教師なし形態素解析器、極大部分文字列集合を用いて、テキストの分割粒度が語義曖昧性解消タスクに与える影響について検証を行う。
 
守口 裕介 環境知能学
発表題目:カメラによる混雑環境下での対象追跡技術に関する論文紹介
発表概要:混雑環境下での人物追跡は、事故や事件の未然防止など様々な分野に応用できる。混雑環境下での対象追跡はそうでない場合と比べ、画素数の減少やオクルージョンといった問題が生じるため、特定画像認識や単体追跡以外の情報を使った追跡手法が必要である。そこで今回は、特定画像認識や単体追跡以外の情報を使った論文として、歩容特徴を利用した論文と集団の流れを利用した論文を紹介する。
 
山田 朋久 インタラクティブメディア設計学
発表題目:物体の形状変化を考慮した投影型拡張現実感システムの提案
発表概要:現実空間に存在する物体上にプロジェクタ等を用いて直接仮想情報を重畳表示する投影型拡張現実感では,先行研究にて物体表面の質感表現や仮想情報へのインタラクションといった研究がなされてきた.これら従来までの研究の多くで扱っていた対象は形状の変化しない実物体であり,初期設定時に物体をモデル化することで安定的に仮想情報の投影が行えていた.本研究では,近年の研究において投影型拡張現実感向けに開発された自由変形可能な物体を利用して,物体の形状が変化しても動的に形状計測をして投影を継続する投影型拡張現実感システムを提案する.本発表では上記先行研究の紹介と提案システムの概要を述べる
 
藤野 拓也 自然言語処理学
発表題目: 日本語学習者の誤りを含む文を対象とした単語分割
発表概要:誤りを含む文は、一般的な文に対する単語分割器では単語分割に失敗する場合が多い。このことは文の誤り訂正タスクにおいて、単語単位の素性が使いづらいという問題をまねく。本研究では、語学学習者のための相互添削型SNSのデータを用いて、誤りを含む日本語学習者の文を単語分割できるように、単語分割器を学習させる手法を提案する。