ゼミナール発表

日時: 12月6日(火)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会: 和泉 順子
山田 悠太 ソフトウェア設計学
発表題目:[論文紹介] Micro Interaction Metrics for Defect Prediction
発表概要:Fault-proneモジュールとは,バグを含む確率の高いモジュールを指す.Fault-proneモジュールを判別できれば,テストを実施する際,そのモジュールにリソースを集中させることで効率的な開発が行え,コストの削減につながる.これまでに,ソースコードから計測されたプロダクトメトリクス(ソースコード行数や複雑度など)を用いたFault-proneモジュール判別手法が提案されている.本論文では,これらのメトリクスに加えて,開発プロセスの振る舞いのパターンを抽出するプロセスメトリクスを用いたFault-proneモジュール判別が提案されている.実験の結果,プロセスメトリクスを用いた方がより良い判別を行えることが分かった.また,プロセスメトリクスの利点として早期に不具合判別を行えることが挙げられている.不具合判別が早いほどコスト削減につながる.本発表では,論文紹介に加え,今後の研究計画について述べる.
 
森高 晃大 コンピューティング・アーキテクチャ
発表題目:大規模演算器アクセラレータのための複数FPGA連結手法
発表概要:我々は一般的な機械語命令を演算器アレイに写像して高い効率で実行する線形アレイ型アクセラレータ LAPP(Linear Array Pipeline Processor)を提案している.LAPP は多数の演算器をアレイ状に配置し,プログラム の最内ループから演算器アレイのデータパスを構成し,必要最小限のユニットだけで実行することによって,高性能 と低消費電力を両立している.LAPP では,1 演算器に1 命令を固定的に割り当てることにより高いスループットを実 現しているが,演算器数はハードウェア資源という制約の下,実装できる数は限られる.したがって,演算器の個数以 上の長い命令列があった場合,演算器に命令を割り当てられない問題が起こる.そこで本発表では,大規模演算器アク セラレータを実現するためのFPGA 連結手法を提案する.評価の結果,従来型のLAPP と比べ,11.6%の面積増加で 長い命令列を演算器アレイに写像し高速実行できる見通しを得た.さらに,最近のFPGA の動向より,複数FPGA 間でのシリアル通信がLAPP の拡張に適していることを示す.
 
隅田 麻由 ユビキタスコンピューティングシステム

発表題目:歩行ナビゲーションのためのスマートフォンを用いた身体的負担度の推定

発表概要:個人の身体能力に応じて最適な歩行ルートを選択できると,効果的かつ継続性の高いウォーキングが期待できる.しかし,心拍数や主観的評価を用いる身体的負担度の推定は,特殊デバイスの装着に手間がかかる.また負担度には個人差がある.本研究では,ユーザにとって負担が最小となる歩行ルートを推薦するナビゲーションシステムの実現を目指し,スマートフォンに搭載されたセンサを用いた身体的負担推定手法を提案する.提案手法では,年齢や性別などを用いてカテゴリに分類し,カテゴリごとに負担度モデルを作成する.ここでは,運動強度と関連のある加速度の振幅や周波数,GPSのログにより取得した歩行速度,勾配などを入力とし,心拍数予測モデルを作成する.そしてこれを基に,歩行時に取得したデータから心拍数および負担度を推定し,様々な歩行ルートに対する負担度の推定を行う.本発表では,提案手法に加え,現在の進捗および今後の研究計画について述べる.

 
二村 阿美 ソフトウェア工学
発表題目:ソフトウェアの難読化の評価手法の提案
発表概要: 現在まで様々なソフトウェアの難読化手法が提案されてきた. ところが,それらの難読化がどの程度強力であるかを客観的に評価することは難しい.
そこで,本研究の目的は,難読化の定量的な評価手法を確立することである. すべての命令が等しく,ランダムに出現する状態を究極の難読化と仮定し,それにどれだけ近いかを評価指標とする. 命令の出現頻度については,エントロピーの測定によって評価する. また,命令のランダム性については,コルモゴロフ複雑性に基づく圧縮率の測定によって評価する. さらに,それらの評価手法に基づいた難読化手法も提案する.
アセンブリプログラムを対象に難読化を行い,難読化前と難読化後のエントロピーおよび圧縮率を測定した. 難読化によって,エントロピーが大きく,また,圧縮率が高くなったことを確認した.
 
橋本 雅至 情報基盤システム学
発表題目:[論文紹介] Dynamic Resource Allocation for Spot Markets in Clouds
発表概要:仮想化技術の進歩に伴い,近年ではクラウド環境が広く普及している. その一方で,クラウド環境における余剰リソースをいかに無駄なく活用するかが問題となっている. 本発表では,余剰リソースをオークション形式で顧客に提供することで, クラウドプロバイダおよび顧客双方の利益を最大化する 市場駆動型リソース割り当てに関する論文を紹介し,さらに今後の指針について述べる.
 

会場: L2

司会: 河合 紀彦
APRILYANTI FINE DWINITA 音情報処理学
発表題目 : Optimization of Joint Blind Noise Suppression and Dereverberation using Higher Order Statistics
発表概要 : A hands-free speech recognition system provides convenience in human-machine interaction. However, this system suffers from background noise and reverberation effect which always degrade speech quality. Previous research has proposed a method to suppress both unwanted noise and reverberation jointly, by combining frequency domain blind signal extraction and two sets of multichannel Wiener filter. The proposed method has been proven to be effective only if its set of parameters are chosen carefully. In this work, we try to investigate how the set of parameters is related to higher order statistics measure and propose a better strategy for selecting the optimum set of parameters.
 
平岡 拓也 知能コミュニケーション
発表題目:部分観測マルコフ決定過程による音声対話のモデル化
発表概要:音声対話が扱うタスクに発生する様々な曖昧性を扱う統計的枠組みとして部分観測マルコフ決定過程が利用されている。本発表では、まず部分観測マルコフ決定過程を利用した対話モデルを紹介する。そして、同枠組みを用いて、説得を扱う対話モデルを提案する。最後に、今後の研究計画について述べる。
 
高橋 達 環境知能学
発表題目:多人数会話におけるロボットによる会話継続の研究―ロボットの視線配布に関する研究紹介―
発表概要:多人数会話では,自分の話したいことをなかなか言い出せないことや,話題が尽きて会話が途切れてしまうことがある.このような状況で,参加者全員に対して発言機会を均等に与え,会話を円滑に継続させるためには,参加者に発話のきっかけや参加者の共通話題の提供を適切に行うメディエータを参与させることが必要である.このメディエータの役割をロボットに行わせることが可能になれば,会議での司会やグループセラピーでのセラピストなど多人数会話での重要な役割を果たすロボットへの応用が期待できる. しかし,現在の音声認識技術ではロボットが会話内容を完全に把握することは困難である.そのため,会話内容を理解しなくても相槌や視線配布などの非言語情報を用いることで,多人数会話にロボットを参与させようとする研究が行われている.また,ロボットを会話に参与させるだけでなく,ロボットに多人数会話を継続させることためには,発言機会の少ない参加者を次の話者に決定し,発話を促すことなどが必要である.そこで本発表では,ロボットの視線配布によって会話の次話者の決定が可能であると報告し,その視線配布の効果を分析した論文を紹介する.
 
濱口 拓男 自然言語処理学
発表題目:ngramモデルと確率的文脈自由文法を共通の枠組みで扱うための検討
発表概要:自然言語処理において言語モデルを考える際にngramモデルと確率的自由文法が存在する。これら両方のモデルは自然言語処理をするにあたって非常に重要な役割を果たしている。しかし対象として扱っている部分の内多くがかぶっているにも関わらず、両方のモデルを同時に扱うための決定的な枠組みというものは未だ提示されていないと言ってよいだろう。今回の発表では、これらのモデルから出発し両者のよい部分を両立させるモデルの構築を実現するための基礎的な部分と、今後のアプローチについて述べる。
 
前田 淳兵 インタラクティブメディア設計学
発表題目:X線画像における腰椎の3次元相互位置関係の推定
発表概要:腰痛や椎間板ヘルニアといった腰椎における疾患は患者一人ひとりによってその症状や部位が異なる.そのため,診断および治療の支援のためには痛みが発生している姿勢での腰椎の3次元相互位置関係を正確に把握することが重要である.本研究では,CTスキャン撮影から得られた腰椎の3次元形状モデルと2次元レントゲン画像を用いて腰椎の3次元相互位置関係の推定を行う.
 

会場: L3

司会: 樫原 茂
中村 俊輔 数理情報学
発表題目:機械学習によるアメリカンフットボールの戦略推定
発表概要:アメリカンフットボールでは相手チームの戦略の推定が大切だが、現在は推定のために人がデータを処理し、発見的に相手戦略の傾向を調べており、大変な手間になっている。本研究では、機械学習により相手戦略を推定し、その手間を軽減するとともに、従来の発見的手法では調べられなかった傾向を見いだすことを目的としている。本発表では現在の進捗と今後の計画について述べる。
 
濱田 龍之介 数理情報学
発表題目:皮質脳波の時空間パターンを用いた視覚物体カテゴリーのデコーディング
発表概要:皮質脳波(Electrocorticogram : ECoG)の電極における電位,またそれらの電極間の相関を用いて,ヒトに視覚刺激を見せたときの視覚物体のカテゴリーをデコーディングできることが先行研究で示されている.しかし時間ずれを考慮した相関については,深く調べられていなかった.本研究では,ECoG電極間の相関を時間ずれまで考慮して,それがデコーディングの正答率にどのような影響を与えるかを調べる.
 
密山 京太 生命機能計測学
発表題目:[論文紹介]A review of diffusion tensor magnetic resonance imaging computational methods and software tools
発表概要:MRI(核磁気共鳴画像法)は臨床の場において広く普及しており,脳機能画像研究でも様々な応用が進んできている。MRIは生体に含まれる水の分布を断層画像として取得する。脳において水分子の拡散は灰白質や脳脊髄液内ではどの方向にも同程度に生じる。一方,白質線維などでは線維方向に比べて,線維に直交する方向では動きが制限されるため,方向によって拡散のしやすさが異なる。この拡散の違いを利用する拡散テンソル画像では,拡散の異方性により一定の方向に向かって連続する白質線維の描出が可能になる。本論文では拡散テンソルMRIデータのプロセスについて紹介する。
 
西田 圭佑 知能システム制御
発表題目:[論文紹介] Virtual Thermal Sensing for Electric Machines
発表概要:電動機は電気エネルギーを機械エネルギーに変換する装置である.しかし,すべてのエネルギーが機械エネルギーに変換されるわけでなく,一部は熱エネルギーに変換され,電動機内部の温度を上昇させる.内部の温度が上昇しすぎた場合,電動機に使用されているコイル巻線の絶縁体の劣化を早めてしまうので,電動機の寿命が縮まる可能性がある.これを防ぐためには,主要部品に対して温度センサを取り付け,運転中に部品温度をモニタリングすることが有効である.しかしながら,計測する部品が多い場合は多くのセンサが必要となることや,センサを設置できる場所には制限がある場合が多い.本発表では,電動機内部の部品温度を仮想的に計測するシステムであるVirtual Thermal Sensor(VTS)に関する論文を紹介する.VTSは電動機内部の温度変化を表現するモデルに基づいて部品温度を推定する.その際,初期値誤差に対応するため,センサの設置が容易である電動機のフレームの温度を参照するカルマンフィルタを利用する.これにより,部品温度を誤差3℃以内で推定することができる.