ゼミナール発表

日時: 12月5日(月)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会: 小町 守
高道 慎之介 知能コミュニケーション
発表題目:音声翻訳システムに搭載する声質変換付きテキスト音声合成の構築
発表概要:音声をインターフェースとするサービスが登場する中、音声翻訳システムが注目を浴びている。 音声認識、機械翻訳、テキスト音声合成からなる音声翻訳システムの出力音声の声質は、システムに依存する。 より自然なコミュニケーションのため、システム後段に声質変換を搭載し、あたかもシステム使用者が非母国語を 話しているようなシステムが提案されている。本研究では、このシステムにおけるテキスト音声合成と声質変換に 着目し、その総合的な性能改善を図る。本報告では、テキスト音声合成に関する進捗状況を報告する。
 
榮門 恒希 環境知能学
発表題目:非接触センサを用いた特定動作に対するティーチングシステムの開発
発表概要:現在,リハビリの補助やスポーツにおけるコーチングなどで動作の正確性が重要視されている.動作の評価は専門家が行うことが適切であるが,評価が必要とされる全ての場面において専門家を派遣することは困難である.そこで本研究では,安価かつ人の自然な動きを妨げない非接触センサを用いて動作の正確性を自動評価し,誤りの訂正ができるシステムを提案する.動作シーケンス全体をクラス分類する手法は多くの研究がなされているが,各身体部位がいつどのように動作異常を示しているかまで検出できる手法は提案されていない.本研究では,動作の重要度を基準として自動的にセグメント化されたサブシーケンスや各部位を個別評価することによって,目標とするティーチングシステムを開発する.本発表では,システムの概要とアプローチ,そして現在の進捗と今後の予定について報告する.
 
寺脇 温晃 インタラクティブメディア設計学
発表題目:ARによる箱型閉塞物体の内容物表示
発表概要:近年,AR技術の発展,普及に伴い様々なARの応用と表現法が提案されている.X-RAY ARもその内の一手法であり,撮影した遮蔽物を透過し,あたかも遮蔽物の奥にある物体が見えるかのように表示する手法である.従来研究では,おもに壁や道路などを対象として,透過表現に有効な画像の特徴を明らかにすることに終始し,ARによる透過表示や他の対象への応用に関する評価はなされていない.そこで本研究では,箱などの小物を対象にしたARによる透過システムとAR表示法の提案,およびユーザー評価を行う.本発表では,試作システムの概要と途中成果,今後の予定について述べる.
 
吉田 雄太 音情報処理学
発表題目:複数言語モデルを用いた音声認識手法の検討
発表概要:音声は人間にとって自然かつ負担が少ない情報伝達手段であるため,音声をインターフェースとした情報機器の実用化が進んでいる.その一つに音声認識を用いた音声情報案内システムがある.本発表では,音声認識エンジンJuliusを用いたユーザ音声の認識タスクにおいて,複数の言語モデルを使用した場合の認識性能を従来の単一言語モデルと比較し,評価する.
 
高橋 弘志 自然言語処理学
発表題目:集合知によるTwitter上のデマ判断支援システム
発表概要:現在,日本では多くの人がソーシャルネットワークサービスTwitterを利用している.しかし,東日本大震災の後には安全や人命に関わるデマが多く発生し,拡散した.本研究では,ツイートに寄せられるコメントなどの情報に着目し,デマである可能性が高いツイートを検出するシステムを開発する.また,検出したツイートの情報をwebアプリケーションなどの形でユーザに公開する.本発表では,システムの概要と,コメントの分類実験の結果について報告する.
 

会場: L2

司会: 池田 篤俊
土居 昭博 知能システム制御
発表題目:[論文紹介]A Rank Minimization Approach to Video Inpainting
発表概要:線形システム理論, 信号処理, システム同定における重要な行列の一つとしてハンケル行列がある. ハンケル行列の性質の中に, ハンケル行列内の既知パラメータから未知パラメータを推定できるというものがある. その際, NP困難である行列ランク最小化問題を解く必要があるものの, この問題の下界を与えるような半正定値計画問題を解くことで代用できる. 本発表では, 前述のハンケル行列の性質を利用して, 動画像修復に必要な特徴点を推定するアルゴリズムを提案した論文を紹介する.
 
益田 祐次 生命機能計測学
発表主題:心疾患の血管形状モデリング
発表概要:先天性心疾患の診断には超音波画像が非常に有用であり, 臨床で広く用いられているが, 超音波画像から病態を把握できるのは診断医だけであり, 執刀医や第三者が正確に把握することは困難であるという課題がある. そこで本研究では, 診断医が超音波画像を参照しながらインタラクティブにモデルを変形できるシステムを開発し, 病態を正確に把握できるようにすることを目的とする. 本発表では先行研究と今後の計画について報告する.
 
中平 悠太 数理情報学
発表題目:Quantitative evaluation of growth cone shape
発表概要:成長円錐は神経網の形成の際,環境要因に応答して形態を変化させ目標への経路を決定するという重要な役割を果たす.そのため,この成長円錐の形態制御のメカニズムの解明は理学的にも工学的にも非常に重要である.この形態制御のメカニズム解明のためには,形態の特徴をとらえて評価する必要がある.しかし,成長円錐は非常に複雑な形状変化を行うため,形状の特徴をとらえるのに有効な手法は確立されていない.本研究では成長円錐のような複雑な形状の特徴の評価手法の開発を目的として研究を行う.本発表では,無向な形状に用いることが出来る二次元形状認識アルゴリズムであるShape Contextを細胞の形状に対して用いた結果と今後の計画について述べる.
 
田中 康之 ロボティクス
発表題目:セマンティックマップのための幾何的情報による物体のカテゴライズ化
発表概要:案内ロボットが作業するために用いる環境地図に必要な情報として,環境内の物体情報があげられる.物体情報を付加した地図であるセマンティックマップの生成には,データベースを用いた物体認識などが行われる.しかし,環境内の物体をすべて認識するには事前に用意したデータのみでは困難である.そこで本研究では,認識された物体の幾何的情報を利用することで,環境内の物体のクラスタリングを行い,カテゴリごとに分類する方法を提案する.本発表では,セマンティックマップの生成に関する研究を紹介し,現在の進捗状況と今後の計画について発表する.
 
小林 香織 数理情報学
 

会場: L3

司会: 油谷 暁
中野 大輔 ソフトウェア工学
発表題目:ソフトウェアテスト工数割当てのシミュレーション
発表概要:ソフトウェア開発において,効率よくバグを発見するためにテストの効率化が重要視されている.テストの効率化を行うために,ソフトウェアの機能(モジュール)中に含まれるバグを予測する研究が数多く行われている.しかしながら,これらの研究では,予測精度の向上までしか議論されておらず,予測結果に基づきどのように各モジュールにコスト(テスト工数)を割り当てるかが定かではない.そこで,本研究の目的はバグ発見率を高めるテスト工数割り当て方法について明らかにする事である.本研究では,割り当てテスト工数とバグの発見率をモデル化し,予測結果に基づいたテスト工数割り当てでどれだけのバグを発見できるかシミュレーションを行う.本発表では,シミュレーション実験の概要と途中成果,今後の予定について述べる.
 
西出 忠司 情報基盤システム学
発表題目:車々間/路車間通信のスマートフォンへの拡張実装
発表概要:近年、車々間/路車間通信に向けた、GPSによる地理位置情報を元にしたアドレッシング/メッセージング機構が提案され、交通安全や交通効率化、動画配信など様々なサービスを想定している。現状では携帯を考慮しないLinuxPCルータ向けに設計されており、ITSにおける重要な要因である歩行者を対象としたサービスの提案、実装が行うことができない。そこで本研究ではこれら機構のスマートフォンへの移植を行い、歩行者も含めたサービス提案、性能評価を行う。本発表では進捗状況、課題について報告する。
 
平山 力地 ソフトウェア設計学
発表題目:スライスを用いた分割に基づくプログラム理解支援手法
発表概要:ソフトウェア開発では,ソフトウェアの保守に多くの時間とコストが費やされている.開発者は保守作業において,ソースコードを単一の機能を実現するコード片に区切りながら,各コード片が実現している機能を理解する.木下らは,単一の機能を実現するコード片は共通の変数を使用すると仮定し,使用変数が共通するコード片の集合単位にソースコードを区切ることによって理解支援を行った.しかし,単一の機能は,ソースコード中の複数の文が変数を介して互いに協調し合って実現されるが,木下らの手法は文間の計算結果の受け渡しを考慮していない.本研究では,プログラムスライス技術を用いて文間の計算結果の受け渡しを分析し,協調し合う複数の文を求めることで,木下らの手法の有効性を改善することを目的とする.本発表では,プログラムスライス技術に関する既存手法を紹介し,その本研究への応用方法について説明する.
 
丹羽 絢也 インターネット工学
発表題目:[論文紹介]Evaluation of Time-Sensitive Information Multicasting Using Tree-Structured Overlay Network
発表概要:Context-Aware Servicesにおいて,マルチキャスト通信のためにオーバレイネットワークを用いる研究がさかんに行われている.本発表では,Context-Aware Servicesの概要を述べた後に,マルチキャスト通信のための木構造化オーバレイを,伝送遅延の面から評価する方法について述べた論文を紹介する.
 
小山 由 ユビキタスコンピューティングシステム
発表題目:Twitterを用いた安否確認システムと広域無線網壊滅エリアからのメッセージ中継方法
発表概要:大災害が生じると,基地局の停電による通信インフラの断絶や通信困難な状況が被災地の多くの地域で発生する.このような場合,被災地内の情報収集が困難となり,災害規模の把握や対策の遅れにつながる.この問題を解決するためには,通信インフラの大部分が断絶した環境でも情報の収集および発信が可能なシステムの構築が必要である.通信インフラの利用が不可能な環境におけるデータ通信のルーティング手法としては,DTN(disruption-tolerant networking)技術が広く用いられている.既存研究として, DTNを用いたルーティング手法は広く取り組まれているが,通信不可能エリアと可能エリアの両方を考慮したルーティング手法は提案されていない. このことから本研究では,DTNのすれ違い通信とインターネット上の災害データベースおよび Twitter を連携させた安否確認システムを提案する.本システムでは,通信不可能エリアにおいてオフラインTwitterにつぶやかれたメッセージを通信可能エリアへ最短時間で到達させることを目的とし,ユーザの持つ携帯端末を介してすれ違い通信を行い,データ伝送を行う.この時,各ユーザはそれぞれ移動ログを保持しており,すれ違った際に相手ユーザの移動ログを確認した上で,より早く通信可能エリアに到達するユーザにのみデータを伝送するように定める.通信可能エリアに到達したデータはTwitterに送った上で,Google Person Finderのような災害データベースにも送信し,投稿内容の登録を行う.本発表では研究背景の他,上記で述べた提案手法とその課題,また今後の課題について述べる.