ゼミナール発表

日時: 11月28日(月)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会: 寺田 直美
津田 徹 情報基盤システム学
発表題目:4K超高精細映像のL3伝送について
発表概要:近年,ハイビジョン映像(HDTV:High Definition Television)を超える画像の規格としてHDTVの縦横2倍の画素数を持つ4K超高精細映像が注目を集めている.本学でも非圧縮4K映像の伝送実験が行われるなど,IPネットワーク上での伝送実験が多く行われているが,現在の伝送実験はTCP/IP Layer2のVLAN(Virtual LAN)技術を用いるものや少ないホップ数のLayer3上でネットワーク環境を構築している.本研究では,大規模なリアルタイム性を要求されるコンテンツをVLAN設定を用いず,広域のL3での伝送する際に起きる際の問題点や配信時の考慮点の調査を目的とする.本発表では,関連研究の紹介と問題解決に向けてのアプローチを説明する.
 
濱崎 一樹 ソフトウェア設計学
発表題目:[論文紹介] Classifying Software Changes: Clean or Buggy?
発表概要:ソフトウェアの信頼性確保や,テスト工数削減のために,欠陥予測手法が数多く提案されている.もし変更を加えたモジュールに欠陥が混入しているか直ちに予測するツールがあれば,開発者はすぐに欠陥修正を行うことができる.本発表で紹介する論文は変更分類と呼ばれる,潜在的なソフトウェアの欠陥を予測するための新しい手法について提案している.変更分類ではソフトウェアの新規変更がバグを含む変更であるか,そうでないかを機械学習を用いて決定する.分類器は構成管理システムの変更履歴から抽出した特徴を元に予測を行うため,プログラミング言語や開発プロジェクトの種類に寄らず,広範囲に適用可能である.本論文を紹介し,ソフトウェアプロセスに着目したマイクロプロセス分析を用いた欠陥予測手法ついて述べる.
 
谷 宗一郎 ソフトウェア工学
 
河田 真宏 ユビキタスコンピューティングシステム
発表題目:仮想ネットワークインターフェースを用いた負荷分散機構の提案
発表概要:近年,無線LANの普及により,大規模な無線LAN網を導入したオフィスや公共施設が一般的となった.また,無線LAN機能を持った端末は,増加し続け,アクセスポイント(以下AP)へアクセスする端末数は増加している.複数のAPがユーザから見える場合,受信電力強度によって,接続先APを決定することが通例であるため,APの負荷に不公平が生まれる.そこで,負荷分散を行うための方式が盛んに研究されているが,AP選択を行う処理の過程で,一時的に通信が途切れる問題が存在する.この問題は,負荷分散処理を行う際,各APを探索するスキャニングを必ず行う必要があることで生じる.このスキャニングに必要な時間がオーバヘッドとなり,高頻度な負荷分散処理の妨げとなっている.従来の負荷分散処理では,再計算されない限り,選択されたAPが変わることはないので,急なトラヒックの増減には対応できない.そこで,本研究では,仮想ネットワークインターフェースを用いて高速なAP選択を行い,動的な負荷分散を可能とする方式を提案する.複数のネットワークインターフェースを扱えるようにすることで,複数のAPと接続可能とし,スキャニング時間を失くすことを可能にする.これにより,瞬時にAPの選択ができるようになるため,従来では制限されていた高頻度な動的な負荷分散を行うことができる.また,複数のネットワークインターフェースを実現する方法として,一つの無線LANカードのネットワークインターフェースの仮想化を行う.本発表では,研究背景,関連研究に加え,本研究のアプローチを評価する予備実験を行ったので,こちらも報告し,進捗と今後の課題について述べる.
 

会場: L2

司会: Sakriani Sakti
小田垣 佑 知能コミュニケーション
発表題目:脳波計測による発話文の認知
個人のコミュニケーション能力が問題として取り上げられる場面が増えている.このことは我々に,情報を正確に分かりやすく伝えることが求められる場面が増えたことを示唆している.本研究では、脳波計を用いてコミュニケーションの中にある違和感を検出及び指標化し,提示することで誤解や話の混線を避けることを可能にすることを目的としている.この違和感を客観的に示すことが出きることによって,これまで主観評価で行われてきたわかりやすさをより分かりやすく評価することが可能になる.本発表では,論文の紹介とその結果を踏まえて,これから行う実験計画について述べる.
 
片山 博士 インタラクティブメディア設計学
発表題目:AR作業支援におけるオクルージョン問題の解決
発表概要:近年,ARを利用し機械の操作などを視覚的に支援するAR作業支援が広まっている.しかし,それらの表現が抱える課題としてオクルージョン問題と呼ばれる仮想物体と現実物体の遮蔽関係の矛盾が挙げられる.このオクルージョン問題が原因で操作する手元が隠れるなどの問題が起こり,作業効率の悪化や事故を招く可能性が考えられる.そこで本研究では,それらの問題を解決する3次元計測センサを用いたAR作業支援システムについて提案し,より効率的なAR作業支援の表現方法を検討する.本発表では今までに提案されたオクルージョン問題解決の関連研究を紹介し,事前実験を含むこれまでの進捗状況について述べる.
 
金原 涼美 音情報処理学
発表題目:Decision-Directed型Wiener Filterにおけるミュージカルノイズ発生量の解析
発表概要:近年,音声通信に関するアプリケーションの増加と共に周囲の雑音による音声の劣化を改善するための雑音抑圧技術が注目されている.中でもWiener Filterなどに代表される非線形雑音抑圧処理が期待されているが,非線形処理によってパラメータ依存の不愉快な音(ミュージカルノイズ)が発生することが知られている.本研究の目的は,先行研究で明らかにされていなかったDecision-Directed型Wiener Filterについて,ミュージカルノイズ発生量とパラメータの関係を明らかにすることである.本発表では研究の概要と今後の計画について述べる.
 
酒井 啓道 自然言語処理学
発表題目:blog著者の属性推定
発表概要:近年,blogの利用者は爆発的に増大してきた.それに伴い,blogの記事を情報源として捉え,そこから商品に対する意見や評判情報を獲得する研究が盛んに行われている.しかし,このような情報は,著者の性別,年齢や所在地などの属性によって大きく異なる場合が多いため,属性を絞り込んだ解析が必要となる.そこで,本研究では,blog記事からこれらの属性を推定する手法を提案する,本発表では,本研究でのアプローチを提案し,現在の進捗を報告する.
 

会場: L3

司会: 高橋 弘喜
加藤 大陽 数理情報学
発表題目:脳卒中麻痺患者のためのニューロフィードバックシステム
発表概要:現在まで,重度脳卒中麻痺患者には,有効となるリハビリテーション手法は存在しなかった.しかし,脳活動計測技術の進歩により,脳活動をフィードバックしトレーニングするニューロフィードバックにリハビリテーションの効果が期待されている.先行研究において,筋活動が見られなかった被験者が,ニューロフィードバックトレーニングにより,筋電位が観測されるまでに回復したことが報告されている.本研究では,さらに効果的なシステムを目指し,NIRS-EEGを組み合わせた高精度計測およびフィードバックする指標について検討していく.本発表では,研究の概要と今後の計画について述べる.
 
勝山 貴史 ロボティクス
発表題目:ロボットの動作計画のための三次元動作推移マップの生成
発表概要:近年,ロボットの行動獲得において,人の動作の見まね等によって高度な動作生成が実現されており,人の行動,動作を積極的に利用することが有効であることが示されている.しかしながら,人の行動,動作は環境に依存するため,ロボットが環境中を大きく移動するような動作の獲得には,環境の情報と関連づけることが重要である.そこで本研究では,人の動作観測と環境情報を組み合わせたマップを用いた,ロボットの行動,動作生成を提案する.本発表では,環境地図生成と人の動作観測に関する関連研究を挙げ,現在の進捗と今後の課題について報告する.
 
紅林 広亮 生命機能計測学

発表主題:連続可能性に基づく神経細胞のボリューム可視化

発表概要:近年、二光子顕微鏡技術の向上により、マウス脳などを対象に微細生体組織の高精細三次元画像が取得可能となっている。神経生理学において、神経細胞の広がりや局所構造の分析は脳神経系の理解に重要な役割を担うため、顕微鏡画像の可視化方法や神経細胞の抽出方法の確立が強く望まれている。しかしながら、これまでに報告されている手法はインタラクティブ性や操作時間、抽出精度等の観点から効果的な手法とは言い難い。そこで本研究では、マウス脳の二光子顕微鏡画像を対象に、連続可能性に基づいた新たな可視化方法の実現を目指す。本発表では、神経細胞の抽出に関する先行研究の比較と提案システムの概要を述べる。

 
里村 祥太 知能システム制御
発表題目:安全確保速度を用いた運転技能自動評価システムの開発
発表概要:交通事故件数のおよそ4分の1を占める無信号交差点における出会い頭事故の防止には, ドライバの運転を評価し教育を行うことで, 安全意識を向上させることが重要である. 本研究では, 運転の評価に着目し, “安全確保速度”と呼ばれる評価指標を用いた 運転技能自動評価システムの開発を行う. 本システムは, デジタル道路地図, GPS, Kinect, 赤外線測距センサから構成され, それぞれ道路形状, 自車位置・速度, 左右確認行動, ペダル操作の計測を行う. さらに, 計測されたデータから計算された安全確保速度によりドライバを自動で評価し, 改善すべき具体的な運転行動を提案する. 本発表では, 現在までの進捗状況と今後の課題について報告する.
 
中谷 淳至 計算システムズ生物学
発表題目:選択的生合成を目的としたテルペン生合成経路の網羅的解析
発表概要:植物が生産する有機化合物の中でも特に多様性に富むのがテルペンである。テルペン化合物とその類縁体は医薬品原料, 健康食品, 工業原料などとして流通しており、産業界において非常に有用な化合物群であると言える。テルペン化合物の多様性はその生合成過程に由来し、テルペン合成酵素だけではなく、テルペン修飾酵素の数と種類にも依存すると考えられる。現在までに多様なテルペン化合物の生合成関連酵素についての研究が行われているが、生合成経路の全容が解明されているのは僅かである。そこで本研究では、当研究室で開発した二次代謝産物データベースシステムKNApSAcKを利用し、酵素-代謝産物間のネットワークを考慮した生合成経路の網羅的解析を目的とする。