ゼミナール発表

日時: 11月9日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会: 樫原 茂
大庭 亮 ロボティクス
発表題目:生活支援のためのロボットハンドの開発
発表概要:生活の質(QoL)の向上のため生活空間中でロボットを活用することが期待され ている.生活空間中の物体を把持や移動させるためにはロボットハン ドは重要 であり,様々な開発や研究がなされている.しかし,どのようなロボットハンド が生活支援ロボットのエンドエフェクタとして向いているのか を評価する手法 が確立されていない.そこで,本研究ではシミュレーションベースのロボットハ ンドの評価システムを開発し,そこで得られた評価結果 をロボットハンドの改 良に活用する.発表では開発したロボットハンドとその把持シミュレーションに ついて説明すると共に,今後の研究計画と解決すべき課題について述べる.
 
泉 直克 数理情報学
発表題目:人間のモーションとの合致性を考慮した動的なキックモーションの生成
発表概要:TVゲームの制作では,人型キャラクターの状況に応じた動的なモーション生成が,制作コストの面からも,量的クオリティの面からも望まれている.モーションキャプチャデータの利用に代表される,従来からの運動学的手法は様々な研究開発が為されている.しかし,力学を考慮していないので,現実の人間のモーションとの合致性には限界があると考える.一方,動力学を考慮した手法も歩行や走行といった移動モーションに関しては多くの研究があり,現実の人間のモーションとの比較評価も行われている.しかし,ボールを蹴るといった何かをヒッティングするモーションに関しては,現実の人間のモーションとの比較は行われていない.本発表では,キックモーションの生成とその評価のプランについて述べる.
 
井林 雅樹 知能システム制御
発表題目:生体信号を利用した動作認識に関する研究
発表概要: 近年,障害者や高齢者のサポートを目的として,筋電位などの生体信号を入力とする ロボット操作用インタフェースの研究開発が盛んに行われている.そこで本研究では,多自由度ロボットを自在に操作できる,高精度・高分解能を実現する筋電インターフェースの開発を目的とする.本発表では,サポートベクターマシンを用いた筋電位からの動作識別に関する文献を紹介し,さらに,論文を元に構成したシステムを用いた追試実験の結果を示す.今後は,より多くの動作の識別とさらなる識別率を向上を図る.
 
大井 学 計算システムズ生物学
発表題目:コドンの使用頻度を用いた微生物ゲノムの網羅的解析

発表概要:近年のDNAシーケンサの飛躍的な高速化に伴い多種多様な微生物種のゲノムが解読され、国際データベースには2000近い生物種の全ゲノムが蓄積されている。この大規模なゲノムデータから生物の特徴を解析することは重要である。そこで本研究で、まず約1000種の微生物を対象に生物固有の特徴である同義コドン使用頻度を用いた主成分分析を行った。この結果、第一軸は生物のGC含有量を示し、第二軸は生息環境によって偏りが確認できた。この第二軸に特徴的なクラスタは好熱性細菌と病原性細菌であった。今後、この病原性細菌の遺伝子に特徴的なコドンの偏りについて解析していく。

 

会場: L2

司会: 伏田 享平
脇坂 洋祐 ソフトウェア基礎学
発表題目:空調の消費電力を考慮したプログラムの処理速度調節によるデータセンタ向け省電力タスクスケジューリングの提案
発表概要:データセンタ環境での電力供給,消費電力.管理などが主要な問題となっている.本発表では,増加するプロセッサおよび空調の消費電力問題を解決するためにプロセッサの動作周波数および電源電圧を下げることでプロセッサと空調設備の消費電力削減を図るタスクスケジューリングアルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムでは入力プログラム内の各タスクをプロセッサに割り当て,予測した処理完了時刻がデッドラインより早い場合には,各タスクの処理時間の延長を行い対応するプロセッサの動作周波数および電源電圧を低下させることにより消費電力を削減する.評価として実測データからフィッティングしたモデルを用いて実環境により近い環境での評価実験の計画について述べる.
 
大谷 友哉 コンピューティング・アーキテクチャ
発表題目:論文紹介“Coarse-grained Dynamically Reconfigurable Architecture with Flexible Reliability”
発表概要:近年,高い柔軟性と電力効率を実現するプロセッサとして粗粒度再構成アーキテクチャ(CGRA)が注目されている.CGRAは実行するプログラムに応じてハードウェアを再構成することで高い柔軟性を維持しつつ,専用ハードウェアに近い電力効率を実現している.しかし,半導体プロセスの微細化に伴い,ビット反転による一時故障や,半導体素子の劣化に伴う永久故障が顕在化しており,CGRAにも高い信頼性が求められている.代表的な高信頼化手法として,2重化(DMR),3重化(TMR)が挙げられるが,それぞれ面積規模と消費電力が2倍および3倍以上になり,実用的ではない.そこで紹介する論文では,DMRとTMRを含む4つの高信頼モードによって異なる冗長構成と柔軟な信頼性を実現するCGRAを提案している.本発表では,論文紹介に加え,今後の研究について述べる.
 
吉見 優太 ディペンダブルシステム学
発表題目:論文紹介”An Industrial Case Study for X-Canceling MISR”
発表概要:LSIのテストではテストパターンを用いる。しかし、回路の大規模化に伴ってテストパターンの生成が困難になったため、テスト容易化設計の研究が進められている。その中で現在ではテストデータ量の増大に伴うテストコストを削減するためテストデータ圧縮技術が注目されている。しかし、テストデータ圧縮には、X(実回路で、0になるか1になるかわからない値)を多く含んだまま圧縮を行うとテスト結果の情報を損失するという問題がある。紹介論文では、Xを含んだまま圧縮をおこなっても有効なテスト結果情報を取り出せる『X-Canceling技術』を用いたアーキテクチャが提案されている。評価実験において、従来手法と比較して高い検出率を達成することができている。本発表ではこれを紹介する。
 
大野 淳司 ユビキタスコンピューティングシステム
発表題目:社会的なつながりを利用したスマート環境の遠隔制御・監視システムの提案
発表概要:近年,ホームネットワークの普及により遠隔地からデバイスを制御する手段は幾つか提案されてきている. これらは基本的にデバイス所有者個人を対象としたものであるが,デバイスの制御や監視の情報を他者と共有すると,社会的な見守りや比較が可能となり,有用である. 本研究では,ソーシャルネットワーキングサービスを利用することにより,単なる遠隔制御・監視だけではなく,同時に社交関係に基づく見守りや比較を行うシステムを提案する. 提案手法では,インフラとして情報拡散・データ収集が容易であるTwitterを用いる. ここで,Twitterに投稿された情報は基本的に誰でも参照可能であるので,機器制御におけるセキュリティや,監視におけるプライバシーが問題となる. 提案手法では,デバイスとTwitterをつなぐミドルウェアを作成し,アカウントベースの認証や投稿時に特別なフォーマットを使用することによってセキュリティの問題を解決する. また,提案手法の有用性を評価するため現在作成しているシステムの実装状況を報告すると共に,今後の研究計画と解決すべき課題について述べる.
 

会場: L3

司会: 波部 斉
岡田 和也 インタラクティブメディア設計学
発表題目:カメラズーム機能使用時におけるARの幾何学的整合性問題の解決
発表概要:マーカー式ARは、カメラの内部パラメータとマーカの2次元・3次元座標を用いて外部パラメータを推定し、仮想物体を現実世界に位置合わせを行なっている。この内部パラメータは、カメラのズーム機能を使用すると変化する。その結果、正確な外部パラメータの推測が不可能になり、幾何学的整合性の欠如が発生する。 本研究は、内部パラメータをリアルタイムで推定することで、カメラズーム時の幾何学的整合性問題の解決を 目的としている。本発表では、主にカメラと距離センサ(Kinect)を用いる手法の説明と、その実装結果を報告する。
 
宇野 祐介 視覚情報メディア
発表題目:Paper introduction「DTAM: Dense tracking and mapping in real-time」
発表概要:Augmented reality (AR) is a technology which combines virtual and real objects each other. Pose and position of a camera and information of surrounding environment are needed for geometry registration. As a single hand-held RGB camera flies over a static scene, they estimate pose and position of a camera and surrounding environment in real-time. To estimate robustly against camera defocus and rapid motion, DTAM relies not on feature extraction but dense, every pixel methods.
 
金川 元信 自然言語処理学
発表題目:カーネルベイズ推論によるノンパラメトリックベイズ
発表概要:本研究ではカーネルベイズ推論による新たなノンパラメトリックベイズの推論手法を提案する。ノンパラメトリックベイズの従来の推論手法には収束の遅さや汎用性の低さといった問題が存在するが、提案手法はそれらの問題の解決への可能性を開くと考えている。本発表では、提案手法の基本となるカーネルベイズ推論と提案手法の概略を述べる。
 
犬飼 辰夫 知能コミュニケーション
発表題目:多対多声質変換における品質改善
発表概要:任意の話者間で声質を変換する技術として多対多固有声変換がある。多対多固有声変換では任意の発話データを用いて学習を行なえることが利点である。しかし多対多固有声変換において参照話者を入れ替えた場合の影響については調査がなされていない。本発表では参照話者を入れ替えた場合の影響を調べるために行なった予備実験の結果を報告する。
 
岩尾 悠祐 音情報処理学
発表題目:非負値行列因子分解を用いた音源分離実験とその評価
発表概要:近年,モノラル音響信号中に混在する構成音を分離抽出する方法として,非負値行列因子分解という手法が注目されている.この手法は,ある観測信号を表す行列を二つの行列の積で近似する手法であり,有限の音階要素から構成される音楽音響信号の特性と相性が良いと考えられる.本稿では,この手法に事前情報と拘束条件を加えたものを説明し,その性能を評価する.