ゼミナール発表

日時: 10月25日(月) 3限


会場:L1

司会:戸田 智基
水野 淳太 D2 松本 裕治 鹿野 清宏 新保 仁
発表題目:文間関係認識のための局所構造アライメント
発表概要:文間関係認識は,1組の文対が与えられたとき,一方が他方に対してどのような意味的関係にあるかを認識する課題であり,高度な情報アクセス技術に重要な役割を果たす.意味的関係のうち含意のみを取り扱う含意関係認識は,文間関係認識の部分問題に位置づけられ,広く研究されている.本発表では,先行研究における問題点を述べ,それに対するアプローチを提案し,その中でも重要な要素技術の一つである単語アライメントに着目する. 単語アライメントは,文間で類似・関連した単語間へ対応付けを行うことで,文中のどこに注目することが後段の関係分類にとって有効かを判断することができ,[MacCartney et al. 06]や[Sammons et al. 09]など,広く用いられている.しかし,類似した単語であっても,他の単語との間の意味的関係を考慮すると対応させるべきではない場合があり,従来の単語アライメントではそれを判断することができない.それに対して,両文中の2単語間の意味的関係を列挙し,文間で対応するかを判断することが考えられるが,あらゆる2単語間の意味的関係を過不足無く列挙することは現実的ではない. そこで,一方の文における2単語間の意味的関係が,他方で対応する2単語間でも成り立っているかを直接判断する局所構造アライメントを提案する.実験では,ウェブ上から集めた約1000文対に対して提案手法を用いた関係分類器を適用し,提案手法の有効性について検証した.
 
MANGUILIMOTAN ERLYN QUIOCO D2 松本 裕治 鹿野 清宏 新保 仁 浅原 正幸
発表題目: POS Tagging and Dependency Parsing for Tagalog
発表概要: In this work, we described the problems encountered with part-of-speech tagging for Tagalog language. Morphological information, such as affixes and reduplication, contribute to the improvement of the POS tagger performance. In this work we also revised the POS tag set for Tagalog and achieved around 1% increase with the new tag set. In spite of this increase, the accuracy of Tagalog POS tagger is only 88.18%, which is still not high enough if we use this tagger for higher-level NLP applications like sentence parsing. We propose in this work to make use of dependency relations in Tagalog to improve POS tagging. Here we also do syntactic analysis of Tagalog using dependency parsing. For the dependency parsing, the Maximum Spanning Tree (MST) parsing algorithm by McDonald et al. (2005) will be used.
 

会場:L2

司会:孫 為華
三宅 香菜子 M2 加藤 博一 伊藤 実 宮崎 純 天野 敏之
発表題目:付加情報を利用した 3Dオブジェクト検索システム
発表概要:本研究では形状・テクスチャ・キーワードそれぞれの情報をまとめて扱う3Dオブジェクト検索システムの提案を行う.検索システム内で3Dオブジェクトの各要素の特徴量の表現方法を検討する.この中で形状情報に関しては特徴量算出の具体的な手法を紹介し,テクスチャ情報においては2つの異なる尺度を持つ特徴量を用いる意義を述べる.そしてキーワード情報に関しては空間内におけるキーワードの表現方法及び検索手法を紹介する.また,提案システムの検索の流れを説明する.
 
水本 旭洋 M2 伊藤 実 杉本 謙二 安本 慶一 孫 為華
発表題目:多数傷病者事故での救命率向上を目指した電子トリアージタグに基づく傷病者搬送計画手法
発表概要:多数傷病者事故における救援活動では,トリアージと呼ばれる手法に基づいて,傷病者を重症度により大まかに分類し, 最も緊急処置を要するカテゴリ(赤)から傷病者を手当たりしだいに搬送しているのが現状である. 近年,傷病者の生体情報を実時間でセンシングし自動で重症度の判断を行う電子トリアージタグが開発されている. また,最新の生体情報,症状,医療統計などから,傷病者の予測生存率が推定可能となっている. 本発表では、これら最新の技術および情報を用いて救命率を向上させる傷病者搬送計画法を提案する. まず,各傷病者に対する,電子トリアージタグにより取得した最新の生体情報,医療統計から推定した生存率の時間変化, 救急車による医療機関への搬送時間などから,傷病者の搬送完了時刻における平均予測生存率を最大化する傷病者の搬送順序を決定する問題を定義する. この問題はNP困難であるため,準最適解を求めるヒューリスティックなアルゴリズムを提案する. 提案アルゴリズムでは,傷病者を最も早く搬送できる救急車と搬送先医療機関を選択するが,ある傷病者を先に搬送することにより, 他の多数の傷病者が救命できないケースを避けるため,各傷病者に対し搬送する場合と搬送しない場合の両方を効率良く探索し,救命率の高い搬送順序を求める. シミュレーション実験を行った結果,提案手法はグリーディな手法および他の既存手法より,25%以上高い救命率を達成した.
 
黒岩 潤平 M2 伊藤 実 関 浩之 孫 為華 山内 由紀子
発表題目:MANETでのノードの移動特性を考慮した安定なクラスタリング
発表概要:近年,移動端末から成るモバイルアドホックネットワーク(MANET)が注目されている.MANETではノードの移動により時々刻々とトポロジが変化するため,自律適応的なネットワーク管理手法が必要とされている.ネットワークをクラスタと呼ばれるグループに分割するクラスタリングはネットワークの階層的な管理を実現する手法であり,大規模なMANETを効率よく管理するための要素技術である.また,優れた自律適応性を備えた分散アルゴリズムの設計手法として,自己安定アルゴリズムがよく研究されている.Johnenらは自己安定クラスタリングアルゴリズムを提案した.このアルゴリズムはMANETを頂点重み付きグラフと見なし,トポロジ変化や頂点重みの変化に対する自律適応性を有しているが,ノードの重みをどのように決定するかについては考慮されておらず,トポロジ変化によりクラスタ構造が頻繁に変化する.クラスタ構造の頻繁な再計算は,通信コストやクラスタ構造を利用する外部のアプリケーションに大きな影響を与える.本発表では,安定したクラスタ構造を提供する重み割り当て手法を提案する.駅周辺やイベント会場では,人がグループで移動する状況がしばしば見られる.提案手法ではこのような移動グループごとにクラスタを形成するようにノードの重みを各ノードが計算する.シミュレーション評価実験により,提案手法はクラスタの安定性を示す,単位時間当たりのクラスタヘッドの変化回数に関して,従来手法と比較して45%改善することを確認した.