ゼミナール発表

日時: 10月20日(水) 3限


会場:L1

司会:山内 由紀子
高松 悠 M2 伊藤 実 山口 英 安本 慶一 孫 為華 山内 由紀子
発表題目:すれ違い通信によるスマートフォン向け省電力協調動画ダウンロード手法
発表内容:近年,携帯電話向けの動画コンテンツ配信サービスが登場し,大容量コンテンツを携帯電話網を介して取得することが一般的になった. しかし,携帯電話網の通信帯域は限られており,多数のユーザが同時に大容量コンテンツを携帯電話網を介して送受信すれば,送受信速度の低下や他のサービスの品質低下を招く. 提案手法では,大容量ファイルをダウンロードする際の携帯電話網の通信帯域節約を目的に,同じコンテンツを要求するユーザ間でコンテンツの一部(断片)を Bluetooth で送受信する協調ダウンロード手法を提案する. 提案手法では,より多くの断片を他のユーザから取得できるようにするため,各ユーザがサーバに位置情報および所有断片情報などを定期的に通知し,要求断片を持つ他のユーザと出会う時刻を確率的に予測し,断片を効率よく取得する通信スケジュールを作成する. 更に,通信スケジュールに基づき,必要な時間だけ Bluetooth デバイスを起動することで電力消費を抑える.提案手法を評価するために,シミュレーションによる実験を行った結果,提案手法は各端末にシステム滞在時間中,平均約25% Bluetooth をスリープさせながら,Bluetooth を常時起動しグリーディに断片を集める方式と同程度の断片を取得できた.
 
岡田 和也 D2 山口 英 伊藤 実 門林 雄基
発表題目:移動軌跡情報を利用した情報配信基盤の実現に関する研究
発表概要:GPSなど位置情報容易に利用できる技術が普及してきている. 位置情報を利用する事で,周辺情報の検索,案内といったサービスが多数提供されている. しかし,既存サービスでは,物理的な位置情報のみを利用したものである. 今後は,より位置の特性を生かしたサービスの実現が不可欠になると考える. 本研究では,より高度な位置情報利用を目指し,動軌跡情報を利用した情報配信基盤の実現を目的とする. 位置取得技術の向上と携帯端末への搭載により,人々の移動軌跡まで取得できると考える. 人々の日常生活における移動は,様々な意味を含んでいる. そのため,位置情報だけでは把握できない,移動経路,傾向を利用した情報配信が実現できると考える. 本発表では,情報配信基盤の提案と現在の研究状況,今後の計画について発表する.
 
BLANC GREGORY D2 山口 英 関 浩之 伊藤 実 門林 雄基
発表題目:Abstract Interpretation based Web 2.0 Scripting Malware Defense
発表概要:The Web, as the uppermost layer of the Internet, constitutes a component inseparable from the Internet. Especially, Web 2.0 applications are the most popular and visible expression of the Internet. Millions of users spent times using script-powered applications unsuspicious of the permanent threat they incur. Indeed, the Web is plagued with a number of infected websites and the actual defenses are unable to protect the user's browser from being exploited. Web attacks are usually difficult to distinguish from benign HTTP traffic, and script-based attacks make a great use of obfuscation to prevent analysis. In particular, server-side countermeasures are not appropriate to detect targeted attacks using obfuscated scripts and generally pattern-matching methods fail to detect these polymorphic attacks. Past research works have already tried to dynamically analyze script-based malware but often consider that obfuscation itself is an indicator of malice, while this is not always the case. In order to reduce the false positive rate, we advocate the necessary deobfuscation of a script sample before performing analysis. We propose a proxy-based client-side system in order to alleviate the load on the browser. The proposed system is composed of 3 modules to perform script analysis: the latest decides on the malice of a script candidate based on the abstraction of the functionalities of the program; to carry out a precise analysis, the second stage deobfuscates the script candidate by statically reversing the obfuscation routine using automated deduction; to allow deobfuscation to take place, it is necessary that enough context be collected, and to do so, the first stage prefetches every linked contents relevant to obfuscation, in order to reveal the deciphering/deobfuscation routines.
 

会場:L2

司会:渡辺 一帆
久保 孝富 D2 池田 和司 鹿野 清宏 柴田 智広
発表題目:筋電図信号に基づいた音声認識 −構音障害者に対しての意思伝達支援デバイスの研究開発に向けて
発表概要:近年、社会の高齢化に伴い、構音機能に障害を持つ障害者数の増加が懸念されており、意思伝達を支援する技術の必要性が高まっている。構音障害者に対して筋電図・音声信号を用いて音声認識を実現する手法がDengらにより提案され、41単語の課題に対して90%を超える単語認識率が得られた。一方で、筋電図計測に用いた電極数・配置の妥当性の検証や、発声動作による計測への影響の評価が、今後の課題として残された。本発表では、多数の電極が格子状に配置されたグリッド電極を用いた解決策を提案し、本研究の進捗状況および今後の計画について述べる。
 
坂井 鉄男 M2 松本 裕治 池田 和司 新保 仁
発表題目:ハブ度に着目したリンク解析によるブートストラッピング法の理論的考察
発表概要:本研究では自然言語処理における教師なし手法の一つであるブートストラッピング法の理論的解析を行う. ブートストラッピング法では, これまで様々なヒューリスティックを用いて性能を改善する試みがなされてきたが, 著者が知る限り, これまでのところその理論的裏付けについては十分に解明されていない. そこで本研究では, リンク解析における HITS で用いられるようなグラフのハブに注目し, ブートストラッピング法のハブの影響について考察を行う. 本発表では, 語義曖昧性解消タスクにおいて評価実験を行った結果を報告する.
 
出口 大祐 M2 鹿野 清宏 木戸出 正繼 猿渡 洋 戸田 智基
発表題目:異なる収録機器を用いた肉伝導音声変換のための音響特性補正
発表概要:体表接着型マイクロフォンの一つであるNon-Audible Murmur (NAM)マイクロフォンで収録される肉伝導音声の音質は,肉伝導音声変換を適用することで大幅に改善される. しかしながら,肉伝導音声の音響特性は,NAMマイクロフォンの種類や圧着位置等の収録環境に大きく影響される.このような音響特性の変化は,実際の使用時に変換音声を劣化させる要因となる. NAMマイクロフォンの圧着位置の違いに起因する音響特性変化に対しては,これまでに,制約付き最尤線形回帰(CMLLR: Constrained Maximum LikelihoodLinear Regression)に基づく音響特性補正法が提案されており,その有効性が報告されている. 本稿では,さらに,使用する収録機器の変化に起因する音響特性の変化に対しても,CMLLRに基づく音響特性補正法を導入する.客観及び主観評価により,提案法の有効性を評価する.
 
縄田 寛之 M2 鹿野 清宏 横矢 直和 猿渡 洋
発表題目:オーディオオブジェクト定位情報に基づく楽曲サムネイル自動生成手法とその評価
発表概要:本研究では,ステレオ楽曲信号から楽曲の主要部分により構成されたサムネイル音源を自動生成することを目的とし,楽曲に含まれる定位情報から主要構成を自動で推定する手法の提案を行う.提案法は,楽曲中における楽器群(オーディオオブジェクト)の定位情報の変位点と,楽曲構成の切り替わり区間が概ね一致すると仮定し,オーディオオブジェクト定位情報の変位点を解析することで楽曲の主要な構成区間を推定する.本稿では,客観評価実験において,提案法における最適なパラメータを,F値の最大化により求める.また,提案法により解析した切り替わり点前後を抽出したサンプル音源により主観評価実験を行い,提案法の有効性について検討を行う.実験結果より,提案法はサムネイル音源を自動生成するための楽曲構成解析手法として有効であることが示された.
 

会場:L3

司会:姚 駿
小副川 絵美子 M2 藤原 秀雄 中島 康彦 井上 美智子 米田 友和
発表題目:テスト実行時における回路初期温度均一化のための温度均一化パターン生成法
発表概要:LSIのテスト実行時は,回路温度に空間的かつ時間的なばらつきが生じる.回路の遅延値は回路温度に依存するため,回路温度にばらつきが生じると高精度な遅延テストが困難になる.本研究グループではこの問題を解決するために,テスト実行時の回路温度均一化を実現する手法を提案している.提案手法では,テスト開始時の回路温度が均一かつ一定であると仮定しているが,フィールド使用時には回路温度が均一かつ一定とは限らないため必ずしも仮定を満たさないという問題がある.そこで,本研究ではテスト開始時の回路温度に関係なく,目標温度に設定するための温度均一化パターンの生成法を提案する.また,本発表では,現在の進捗状況および今後の予定について述べる.
 
児玉 秀憲 M2 藤原 秀雄 中島 康彦 井上 美智子 大竹 哲史
発表題目:通常動作時の消費電力を考慮した遅延故障テスト生成
発表概要:LSI設計では,テストを容易にするためにスキャン設計と呼ばれるテスト容易化設計が行われる.外部から任意の値をFFに設定することで,生成 されたテストパターンを組合せ回路に印加してテストを行うが,通常動作では起こりえない状態遷移を起こすことができるので,テスト時には通常動作時と異な る電力を消費する.テスト時の消費電力が大きくなるとノイズが発生したり,急激な電圧降下を引き起こし,正常チップを不良品と誤判定することによる歩留ま り劣化を生じる.消費電力が小さくなると,テスト時に通常の厳しい電力状況が再現できず,不良品の見逃しといった原因ををもたらす.この問題を解決するた めに,テスト時に回路が通常動作に近い振る舞いをする遅延故障テスト生成法を提案する.この提案法はテスト生成において,テストパターンに無効状態が現れ ないようにするためのテスト生成制約回路を作成し,これを用いて通常動作に現れる状態遷移に近いテストを生成する.これにより,通常動作時と同等の消費電 力でのテストの実現を目指す.
 
堀 慧悟 M2 藤原 秀雄 中島 康彦 井上 美智子 米田 友和
発表題目:高精度遅延テストのためのテストパターン生成法
発表概要:近年,半導体の製造プロセスの微細化に伴い,劣化が製品の信頼性に関わる重大な問題となっている.劣化は製造時の出荷テストでは検出できず,使用環境で顕在化するため,システム障害を引き起こす危険性がある.この問題を解決するために,本研究では微小な遅延値の増加に対してテストを行うことで,劣化検知を実現する高精度遅延テストのためのテストパターン生成法を提案する.微小な遅延値の増加に対してテストする際,パス長に合わせてクロック周波数を変更するため,各故障のパス長を考慮する必要がある.そこでマスク情報を与えることで,各故障のパス長に合わせたテストパターンを生成する手法を検討し,その有効性を述べる.