ゼミナール発表

日時: 9月29日(水) 1限


会場:L1

司会:橘 拓至
高津 朋也 M2 岡田 実 杉本 謙二 原 孝雄 宮本 龍介
題目:近距離無線通信規格IEEE802.15.4におけるESPARアンテナを用いた単一RF受信機の 提案
内容:近年、ブロードバンド通信に代表される無線LANや地デジといった大容量のデータを扱うものより、センサーネットワークに使用されるような近距離での無線通信が注目されている。しかし、無線通信を行う上で、問題となるマルチパスフェージングによる伝送特性の劣化は常に大きな問題となっている。この問題を改善する手法がいくつかあるがどれも不十分であった。そこで、本報告では近距離無線通信規格であるIEEE802.15.4に基づく周波数拡散方式にESPAR(Electronically Steerable Passive Array Radiator)アンテナを適用し、その指向性をIEEE802.15.4のシンボル速度である62.5kHzで高速に変化させることにより、信号処理を行うことなくダイバーシチ効果が得られる方式を提案する。
 
馬 妍妍 M2 岡田 実 杉本 謙二 原 孝雄 宮本 龍介
発表題目:組み込みJavaデバイスへのマルチルートネットワークの実装と評価に関する研究
発表概要:本研究では,マルチルート通信技術について,中継ノードにおいて送信データに符号化を施すことにより誤り耐性を向上するネットワーク符号化(Network Coding)技術を利用したマルチルート構築技術,ルーティング技術の研究を行います. そして、畳みこみ符号を用いて、実際の無線アクセス環境を構築し、組み込みJavaデバイス開発環境で実装と評価を行います.
 
米澤 智 M1 小笠原 司 杉本 謙二 高松 淳 栗田 雄一
発表題目:指先接触面の滑り量制御を用いた重量・摩擦提示デバイス
発表概要:近年,ハプティックデバイスは遠隔操作やVR,エンターテイメントなどへ応用が期待されている.特に物体把持時における触覚提示では重さや滑りやすさといった感覚の提示が重要になると考えられる.しかし,これまでのハプティックデバイスの制御では物体把持における人間の反応まで十分に考慮されていなかった.本研究では,物体把持において重要とされている初期滑りを接触面画像を用いて計測しながら,重さや滑りやすさを提示する手法を提案する.本発表では提案手法を用いたハプティックシステムの概要と試作機による重さ提示実験について述べる.
 
角岡 俊助 M2 小笠原 司 杉本 謙二 高松 淳 栗田 雄一
発表題目:容器内液体の特性推定に関する研究
発表概要:音情報は硬さ測定や欠陥検査のような非破壊検査,グラス内の水量の推定などに用いられており,物体の特性推定に適した情報である.しかし,容器内の液体に対する特性推定において,既存の手法では推定することのできない特性や必要となる前提条件が存在している.そこで本研究では,様々な容器,液体の組み合わせに対して,容器のふちを叩いた際に発生する音の周波数を測定することで,従来手法の適用範囲を明らかにするとともに,それらの問題点をカバーできるような新しい特性推定手法の提案を行う.
 

会場:L2

司会:大平 雅雄
須川 真佑 M2 池田 和司 松本 健一 柴田 智広
発表題目:表情識別時と個体識別時の眼球運動の差異について
発表概要:個体識別と表情識別はいずれも顔を識別対象としているが,識別目標が異なるため,認知過程における処理も異なっている. 本研究では,識別目標の違いが行動レベルでの特徴選択にも差異を生じさせることを示す.同一の視覚刺激で識別目標だけを変化させた識別課題に対し注視点の分布に違いが見られた. 最後に今後の研究方針について述べる.
 
大杉 直也 M2 池田 和司 松本 健一 柴田 智広
発表題目:脳波信号からの直感発生検出に関するBCI研究
発表概要:直感とは知的創造性の大きな要因とされているが、心的な反応なため外的に直感を識別することは不可能とされてきた。本研究では脳波に着目し、直感を判別する為のブレインマシーンインターフェース、通称BMIを作成した。このBMIを用いることにより直感を脳波から判別することができた。
 
福田 めぐみ M2 池田 和司 松本 健一 川人 光男★ 柴田 智広
発表題目:リアルタイムfMRIニューロフィードバックトレーニングによる脳活動操作実験
発表概要: ニューロフィードバックトレーニングとは、被験者が自身の脳活動に関する情報を手がかりに、脳活動の操作方法を学ぶというトレーニングである。このニューロフイードバックトレーニングを通し、慢性疼痛やADHDの症状が改善されたという報告もあり、臨床面での応用が期待されている。  しかし、ニューロフィードバックトレーニングのメカニズムは不明な点が多い。特に、トレーニングを通して脳活動が変化したとしても、イメージの仕方を変えることで脳活動が変化したにすぎないという批判がある。今までのニューロフィードバックトレーニングでは、その脳部位の活動を変化させるのに最適なイメージ方法を被験者に教示していたため、イメージを行うことによる脳活動の変化と、フィードバックによって生起された脳活動の変化が十分に分化されていなかった。そこで、(1)ニューロフィードバックトレーニングを行うことで、イメージを行うだけでは生起しにくい脳活動を生起させる (2)トレーニングを行うことで、Rest状態(何もタスクを行っていない状態)の脳内のネットワーク自体が変化したことを示す実験を行った。  これまでの研究で、(1) fMRIで撮像した画像をリアルタイムに処理するためのシステム構築 (2) ニューロフィードバックにより、イメージを行うだけでは生起しにくい脳活動を生起させる ことに成功した。
 
間島 慶 M2 池田 和司 湊 小太郎 川人 光男★ 神谷 之康
発表題目:皮質脳波の位相パターンを用いた視覚物体カテゴリーの解読
発表概要:我々の脳内では電気信号を用いた信号のやり取りが行われており、皮質脳波計測(Electrocorticography, ECoG)は脳表面に電極を置くことで脳から生じる電気活動を高い時空間分解能で計測できる手法として注目されている。計測された信号内にはさまざまな周期の振動現象が存在し、異なる点で計測された信号の位相間、異なる周波数信号の位相-振幅間には特徴的なパターンが観測されている。脳波の振動現象は物体認識等、高次な視覚処理との関連が示唆されているが、そのような脳波のパターンが担う役割はわかっていない。本研究では計測されたECoG信号の位相間パターン、位相-振幅間パターンに視覚情報がコードされているか検証するため、ECoG信号を用いた脳情報解読を行い、そのようなパターンから視覚物体のカテゴリーの情報が読み出せることを確認した。また位相間パターン、位相-振幅間パターンのそれぞれの構造を無視する予測器を構築し、それらのパターンを考慮した場合と比較した。結果、位相間パターンを無視した場合カテゴリー予測の正答率は低下し、位相-振幅間パターンを無視した場合は変化はなかった。この結果から脳の広範囲に分布する脳波の位相パターンはカテゴリー処理に関わっていること、観測される位相-振幅間のパターンは付随現象である可能性が示唆される。発表では現在の問題点、今後の課題についても紹介する。