ゼミナール発表

日時: 9月28日(火) 1限


会場:L1

司会:森崎 修司
北裏 龍太 M2 松本 裕治 松本 健一 新保 仁
発表題目:現代ペルシア語学習を支援する辞書システムにおける活用解析器の開発とその外国語学習効率化性能の検証
発表概要:外国語学習者にとって学習辞書は教科書以上に参照回数の多いものであり、それ無しで学習を進めることは困難を極める。ところが世界各地に種々ある言語の中には「辞書が引けたら一人前」といわれる言語が存在する。例えば、語が著しく活用されてしまい文中に現れる形と辞書の見出し語との間に著しい差異が生ずる言語等がこれにあたる。そういった言語の辞書を使いこなすには語の活用規則の把握などのある程度の語学力が要求される。本発表ではそのような辞書引きの難しい言語の学習を支援する方法について、現代ペルシア語を例に提案する。
 
粕谷 悠介 M2 西谷 紘一 松本 健一 野田 賢
発表題目:安全確保速度に基づく模範的な交差点通過行動プロフィールの探索
発表概要:近年、信号機のない交差点での出会い頭衝突事故が多発している。われわれは、出会い頭事故はドライバの安全意識の改善によって削減できると考えており、ドライバの交差点通過の運転行動に着眼点を置いた研究に取り組んでいる。先行研究では、交差点通過行動の危険度を評価する指標として、「安全確保速度(HAS:Highest Admitted Speed)」を提案した。また、実際にHASを用いて運転行動評価を行い、個々のドライバの問題点や改善策を指摘する安全運転教育を施行した。しかしこの教育では、ドライバの目標となる模範的な運転行動は示されておらず、HAS値を高くする運転行動を正しく理解してもらうことは困難であった。本研究では、HAS値の高い運転行動のプロフィールを、交差点の形状データを用いて数理的に探索する方法を提案する。
 
坂口 寛史 M2 西谷 紘一 小笠原 司 中村 文一
発表題目:二輪車両の動的障害物回避制御
発表概要:車両型移動ロボットの動作計画法として最もよく用いられているのがポテンシャル法である.そのポテンシャル作成法のひとつとして最小射影法が提案されている.本発表ではまず,福井らによって提案された最小射影法による既知の障害物回避制御法を紹介する.次に,福井らの手法を未知の障害物に適応できるように拡張した制御法を提案する.最後に,実験により有効性を確認する.
 

会場:L2

司会:平野 良憲
貞島 祥平 M2 湊 小太郎 箱嶋 敏雄 杉浦 忠男
発表題目:生体細胞計測を目的とした一粒子追跡システムの開発
発表概要:近年、膜タンパク質挙動の直接観察の手法として一粒子追跡法(Single Particle Tracking, SPT)は、強力なツールとなってきた.従来のSPTでは、光強度が一定のCWレーザーを用いて画像を撮影することが一般的であった.しかし、一定強度の光で蛍光励起した場合は、露光時間中に分子が移動すると分子像が移動軌跡で積分した形状になり、分子位置の推定結果が不正確になる.そのため、CWレーザーによるSPTで求めた拡散係数は真の値より小さくなるという問題点がある.また、蛍光プローブでは褪色するまでに検出可能なフォトンの総数が少なく、長時間輝点を追跡することが困難であった.この問題を解決するために、本研究では矩形状に強度変調した照明光を用いたSPTの手法について提案する.本手法では、撮影間隔に対して短い時間のみ照明光を照射して蛍光励起し、対象の分子の像を得る.これにより、撮影時の分子位置をより正確に推定する.本発表では、構築した計測システムの有用性の検証結果、さらに本手法を生体試料へ適応した実験結果について報告する.
 
鶴田 諒介 M2 湊 小太郎 箱嶋 敏雄 杉浦 忠男
発表題目:癌細胞の駆動力計測
発表概要:細胞・細胞外マトリックス間で形成される細胞接着や、接着構造形成後に起こる細胞移動は、 細胞増殖やガン化細胞の転移メカニズムといった細胞レベルで起こる重要な現象に関わる因子の一つである。 そのため、細胞接着や移動に関する分子的メカニズム解明の為の研究が行われてきているが、 力学的応答については未だ解明されていない部分が多い。 そこで本研究では、細胞接着と細胞移動に関する力学的メカニズムを解明するため、 細胞が接着構造を介して発生させる駆動力を計測するシステムを開発し、 高い移動能を持つ癌細胞の転移能との関連性を始めとして、細胞の種類による特徴を調べることを目的としている。 本発表では、計測システム開発における進行段階、さらに今後の展望を述べる。
 
西尾 徹 M2 湊 小太郎 箱嶋 敏雄 杉浦 忠男
発表題目:光ピンセット細胞触診システムを利用した細胞接着形成過程の研究
発表概要:細胞接着は細胞増殖、細胞骨格形成への関与といった細胞内シグナル伝達、及び外界からの物理的防御機構形成など、生体において重要な役割を担っている。具体的には接着斑(focal adhesion)と呼ばれる複合体がその例であり、アクチン、インテグリン、ビンキュリンなどの接着関連因子を通して、細胞局所において細胞と細胞外マトリックスの結合を行っている。 近年、細胞接着はウイルス感染やがん転移機構との関連が示唆されており、接着機構の詳細な解明に対するニーズが高まっている。しかし、細胞接着強度に関する定量的な基礎情報が不足している点、また接着形成因子と細胞接着強度の関係が不明であるという課題があり、未だに細胞接着の詳細な機構解明には至っていない。 本研究では細胞接着形成過程の調査に光ピンセット細胞触診法を用いた。この技術はコラーゲンコートした直径2μmの粒子を光ピンセットで操作して細胞に接着することで、細胞-粒子間に細胞接着を形成させ、pNオーダーの力を細胞に印加した際の、細胞からの反力を計測して評価する方法である。 これらの計測システムを用い、接着形成因子と細胞接着形成における反力の関係、及び細胞の局所的な力学的特性を計測評価し、細胞接着における基礎的な定量情報を得ることを目的としている。 本発表では、これらの計測システムを用いた具体的な実験方法、またその結果、進捗状況について述べる。
 

会場:L3

司会:浦西 友樹
光武 雅人 M2 加藤 博一 千原 國宏 宮崎 純 藤澤 誠
発表題目:Super-Helicesに基づく対話的な髪のシミュレーション
発表概要:コンピュータグラフィックスの分野において,人間の髪の振る舞いをシミュレートすることは長らく挑戦的な課題のひとつであった.それは,およそ十万本といわれる髪の本数の多さと,髪がもつ非線形の振る舞いに起因するものである.だが,計算機の発展につれて,近年は活発な研究が行われるようになった.既存の研究により,GPUと呼ばれるアクセラレータを利用し,極めてシンプルなモデル化という条件付きではあるが,対話的な速度で髪をシミュレートする手法が提案されている.我々はインタラクティブなヘアスタイリングシステムの構築を目指しているが,この手法は物理法則に基づいていないため,例えば髪にパーマをあてるという操作を対話的に行うための表現力を持ち合わせていない.そこで,Super-Helicesと呼ばれる表現力の高い手法をベースに,GPUをアクセラレータとして用いて対話的な速度でより表現力のあるシミュレーションを実現する研究について報告する.
 
三村 豪 M2 加藤 博一 千原 國宏 宮崎 純 藤澤 誠
発表題目:粒子法における乱流を考慮した流体表面の改良
発表概要:近年、粒子法を用いた流体アニメーションが盛んに研究されている。しかし、細かな特徴まで再現した流体アニメーションを生成するために粒子を細かくすると、シミュレーションのための計算量が増加するという問 題がある。そこで、本研究では、コロモゴロフ則に従うよう粒子のアップサンプリングを行うことにより、シミュレーションのための粒子数は変えずに、液体表面の詳細な特徴を再現した流体アニメーションを可能する。